![]() 固体バイオマス、ならびに関連するバイオ燃料、芳香族化合物、およびオレフィン化合物の触媒熱分解
专利摘要:
本発明は、炭化水素流体生成物のための組成物および方法に関し、より具体的には、触媒熱分解を経る、炭化水素流体生成物のための組成物および方法に関する。いくつかの実施形態は、触媒熱分解を経て、特定の芳香族生成物(例えば、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、キシレンなど)を製造する方法に関する。このようないくつかの方法は、固体炭化水素系材料と不均一な熱分解触媒成分との混合物を含む組成物の使用を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、混合物を、高温(例えば、500℃〜1000℃)で熱分解してもよい。別個の特定可能なバイオ燃料化合物を製造するのに少なくとも部分的に十分な時間、熱分解を行ってもよい。 公开号:JP2011514927A 申请号:JP2010549662 申请日:2009-03-03 公开日:2011-05-12 发明作者:トレン カールソン,;ジュンホ ジェ,;ユー−ティン チェン,;ジェフェリー トンプセット,;タシャール ビスピュート,;ジョージ;ダブリュー. ヒューバー, 申请人:ユニバーシティ オブ マサチューセッツ; IPC主号:C10G1-00
专利说明:
[0001] 発明の分野 本発明は、バイオ燃料、芳香族化合物、オレフィン化合物のような生化学物質を製造するための組成物および方法に関し、より特定的には、触媒熱分解を経て生化学物質を製造するための組成物および方法に関する。] 背景技術 [0002] 背景 リグノセルロース系バイオマスは、コストが低く、広範囲な有効性を有するため、再生可能な液体バイオ燃料の供給原料として、世界中で広く研究されてきている。特に、バイオマスに由来する燃料は、化石燃料を用いずに製造した場合には、正味のCO2排出量がゼロであるということが大きな魅力である。しかし、リグノセルロース系バイオマスは、現時点では、液体燃料源として一般に使用されているわけではない。なぜなら、現時点での典型的な変換プロセスは、経済的に実現可能なものではないと考えられるからである。固体バイオマスを液体燃料に変換するために、いくつかの経路が検討されている。低温(例えば、200〜260℃)で、炭水化物水溶液を、脱水、アルドール縮合および脱水/水素化を含む多段階の水相処理(APP)することによって、ディーゼル用のアルカンを製造することができる(非特許文献1)。しかし、APPでは、固体のリグノセルロース系バイオマスを最初に水性の炭水化物に変換する必要がある。高温(約800℃)では、固体バイオマスを、自動で熱充填された床を備える反応器で、触媒の上で部分的に酸化することによって改質し、合成ガスを製造してもよい(非特許文献2)。この反応から得られた合成ガスを、第2プロセスに供給し、燃料および化学物質を作製してもよい。特定の用途では、固体バイオマス変換にとって理想的なプロセスは、1つの工程で、短い滞留時間で、固体バイオマスから、既存のインフラ設備に適合する液体燃料を製造することを含んでいてもよい。残念なことに、APPも、合成ガスプロセスも、この基準を満たさない。] [0003] バイオ燃料を製造する別のアプローチは、急速熱分解であり、この方法は、例えば、バイオマスを、迅速に(例えば、約500℃/秒)中間温度(例えば、約400〜600℃)まで加熱した後、迅速に冷却する(例えば、滞留時間1〜2秒)工程を含んでいてもよい(非特許文献3)。従来の急速熱分解は、バイオオイルと呼ばれる、熱的に不安定な液体生成物が生じることが多く、この物質は、時間とともに分解する300種類を超える化合物を含む、酸性の可燃性液体混合物である。] [0004] しかし、バイオオイルは、ガソリンおよびディーゼルのような既存の輸送用液体燃料とは適合せず、収率も低い。したがって、当該技術分野において、固体バイオマスから、有用なバイオ燃料および関連する化合物を製造するための経済的で効果的な経路を見つけるための研究が依然として進行中である。] 先行技術 [0005] G.W.Huber、J.A.Dumesic、Catalysis Today 2006、111、119−132 P.J.Dauenhauer、J.D.Dreyer、N.J.Degenstein、L.D.Schnudt、Angew.Chem.Int.2007度版、46、5864−5867 A.V.Bridgwater、Fast Pyrolysis of Biomass:A Handbook、第2巻、CPLPress、Newbury、UK、2002] 課題を解決するための手段 [0006] 発明の要旨 本発明は、一般的に、バイオ燃料、芳香族化合物、オレフィン化合物のような生化学物質を製造するための組成物および方法に関する。本発明の主題は、いくつかの場合には、相互に関連する生成物、特定の問題に対する代替的な解決策、および/または1つ以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる用途を含む。] [0007] ある一連の実施形態では、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;固体炭化水素系材料を、約0.01時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で、流動床反応器に供給する工程と;流動床反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0008] いくつかの場合には、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、反応器内に固体触媒を用意する工程と;反応器内に固体炭化水素系材料を用意する工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、上述の固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程と;触媒および1つ以上の炭化水素生成物を、少なくとも約1秒間の分離器での滞留時間で、かつ約500℃を超える分離器温度で、分離器に通すことによって、触媒から、1つ以上の炭化水素生成物を分離する工程とを含む。] [0009] いくつかの場合、炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、循環式流動床反応器または乱流式流動床反応器を備える第1反応器内に炭化水素系材料を用意する工程と;第1反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、第2反応器中で1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0010] いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、流動床反応器を備える第1反応器内に固体炭化水素系材料を用意する工程と;第1反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、第2反応器中で1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0011] 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、いくつかの実施形態では、流動化流体を流動床反応器に導入し、この流動化液体が、この反応器内で、流動化液体の平均滞留時間が少なくとも約1秒である工程と;流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;流動床反応器に固体炭化水素系材料を供給する工程と;流動床反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解し、この流動床反応器が、約500℃〜約1000℃の温度を有する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0012] いくつかの実施形態では、炭化水素流体生成物は、固体炭化水素系材料の反応生成物の流体部分を含み、この炭化水素流体生成物は、反応生成物を形成するのに使用される固体炭化水素系反応剤物質の合計量のうち、少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、この量が、炭化水素流体生成物中に存在する芳香族化合物の重量を、反応生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される。] [0013] いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料から、炭化水素流体生成物を製造する方法は、反応器内に固体炭化水素系材料および触媒を用意する工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させ、炭化水素流体生成物が、熱分解生成物を形成するのに使用される固体炭化水素系材料の合計量のうち、少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、この量が、炭化水素流体生成物中に存在する芳香族化合物の重量を、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される工程とを含む。] [0014] いくつかの場合、固体炭化水素系材料から、炭化水素流体生成物を製造する方法は、反応器内に固体炭化水素系材料および触媒を用意する工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させ、炭化水素流体生成物が、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の合計量のうち、少なくとも約7重量%の量のオレフィン化合物を含み、この量が、炭化水素流体生成物中に存在するオレフィン化合物の重量を、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される工程とを含む。] [0015] いくつかの実施形態では、炭化水素流体生成物は、固体炭化水素系材料の反応生成物の流体部分を含み、この炭化水素流体生成物は、反応生成物を形成するのに使用される固体炭化水素系反応剤物質の合計量のうち、少なくとも約7重量%の量のオレフィン化合物を含み、この量が、炭化水素液体組成物中に存在するオレフィン化合物の重量を、反応生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される。] [0016] 炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を選択的に製造する方法は、いくつかの実施形態では、反応器内に、固体炭化水素系材料と、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含むゼオライト触媒とを用意する工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解し、炭化水素系材料および触媒は、約50℃/秒よりも大きな加熱速度で加熱され、この反応器が、少なくとも1リットルの容積を有する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、上述の1つ以上の炭化水素流体生成物を選択的に製造し、コークス生産量が最小になるのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0017] いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、循環式流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;供給物中、触媒と炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1であるように、固体炭化水素系材料を循環式流動床反応器に供給する工程と;循環式流動床反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解し、反応が約500℃〜約1000℃の温度で進行する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0018] いくつかの場合、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、循環式流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;固体炭化水素系材料を循環式流動床反応器に供給し、供給物中、触媒と炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1である工程と;循環式流動床反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解し、炭化水素系材料の質量正規化空間速度が、約0.01時間−1〜約10時間−1である工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む。] [0019] 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、いくつかの場合、反応器内に固体炭化水素系材料および1つ以上の触媒を用意し、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約95%が、第1径分布内または第2径分布内にある最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、第1径分布内にある最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、第2径分布内にある最小断面直径を有し;第1径分布と第2径分布とが、重複していない工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と、熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用いて触媒反応させ、1つ以上の炭化水素生成物および少なくとも部分的に不活性化された触媒を製造する工程とを含む。] [0020] いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法は、反応器内に固体炭化水素系材料および1つ以上の触媒を用意し、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約95%が、第1分布内および第2分布内にある最小断面直径を有し、該第1分布が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームであり、該第2分布が、該第1分布とは異なっており、重複しておらず;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、該第2分布内にある最小断面直径を有する工程と;反応器内で、固体炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と、熱分解生成物の少なくとも一部分を、1つ以上の触媒を用いて触媒反応させ、1つ以上の炭化水素流体生成物および少なくとも部分的に不活性化された触媒を製造する工程とを含む。] [0021] 組成物は、いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒を含み、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約95%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径または約7オングストローム〜約200オングストロームの最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径を有し;1つ以上のゼオライト触媒の孔の少なくとも約5%が、約7オングストローム〜約200オングストロームの最小断面直径を有する。] [0022] いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料から、炭化水素流体生成物を製造する方法は、反応器に、固体触媒および固体炭化水素系材料を含む組成物を用意し、この組成物中の触媒と炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1である工程と;反応器内に用意された組成物を加熱し、炭化水素系材料の反応器内での滞留時間が、約1分〜約4分である工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を熱分解し、熱分解生成物を製造する工程と;熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用いて触媒反応させ、炭化水素流体生成物を製造する工程とを含む。] [0023] 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を選択的に製造する方法は、いくつかの実施形態では、反応器内に、第1成分および第2成分を含む固体炭化水素系材料を用意し、該第1成分と該第2成分とが異なっている工程と;反応器内に、第1触媒および第2触媒を用意し、該第1触媒が、第1成分またはその誘導体を触媒反応させ、炭化水素流体生成物を製造するのに選択的であり、該第2触媒が、第2成分またはその誘導体を触媒反応させ、炭化水素流体生成物を製造するのに選択的である工程と;反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と、熱分解生成物の少なくとも一部分を、第1触媒および第2触媒を用いて触媒反応させ、1つ以上の炭化水素生成物および少なくとも部分的に不活性化された触媒を製造する工程とを含む。] [0024] 本発明の他の局面、他の実施形態は、以下の詳細な記載を、添付の図面と組み合わせて考えれば、明らかになるであろう。添付の図面は、概略図であり、寸法通りに記載することを意図しているわけではない。明確にするために、すべての図面のすべての要素に識別記号が付されているわけではなく、当業者が本発明を理解するために説明を必要としない場合、本発明のそれぞれの実施形態のすべての要素が示されているわけではない。参照により本明細書に援用されている、あらゆる特許明細書および特許は、その全体を参照により援用される。矛盾する場合、定義を含め、本明細書の内容が優先する。] [0025] 本発明の限定されない実施形態は、添付の図面を参照し、例として記載されており、この図面は、模式図であり、寸法通りに記載することを意図しているわけではない。図面において、図示されている同一の要素または、ほぼ同一の要素は、典型的に、1つの番号で表されている。明確にするために、すべての図面のすべての要素に識別記号が付されているわけではなく、当業者が本発明を理解するために説明を必要としない場合、本発明のそれぞれの実施形態のすべての要素が示されているわけではない。図面において、以下のとおりである。] 図面の簡単な説明 [0026] 図1は、ある一連の実施形態に係る、触媒熱分解プロセスの概略図である。 図2Aは、種々のバイオマスに由来する供給原料からの、炭素収率をプロットしたものである(芳香族化合物:横線、CO2:白色、CO:斜線、コークス:黒色、未同定:灰色)。図2Bは、ある一連の実施形態に係る、ベンゼン(Ben.)、トルエン(Tol.)、エチル−ベンゼンおよびキシレン(E−Ben.、Xyl.)、メチル−エチル−ベンゼンおよびトリメチル−ベンゼン(m,e−Ben.、tmBen.)、インダン(Ind.)、ナフタレン(Nap.)の供給物に対する芳香族選択率をプロットしたものである。 図3は、ある一連の実施形態にしたがってグルコースをZSM5で触媒熱分解した場合の、CO(■)、芳香族化合物(▲)、CO2(Δ)、コークス(●)の炭素収率を名目上の加熱速度(nominal heating rate)の関数としてプロットしたものである。 図4Aは、CO(■)、芳香族化合物(▲)、CO2(Δ)、部分的に脱酸素した種(□)、コークス(●)の炭素収率を触媒とグルコースとの質量比の関数としてプロットしたものである。図4Bは、ある一連の実施形態にしたがって部分的に脱酸素した種である、ヒドロキシアセチルアルデヒド(H.A.)、酢酸(A.A.)、フラン(Fur.)、フルフラール(Furf)、メチルフラン(M−Fur)、4−メチルフルフラール(4−M−Furf)、フラン−2−メタノール(Fur−2−MeoH)の分布である。 図5は、ある一連の実施形態にしたがって、種々の触媒を用いて、グルコースを触媒熱分解した後の炭素収率をプロットしたものである(芳香族化合物:横線、CO2:白色、CO:斜線、部分的に脱酸素した種:灰色、コークス:黒色)。 図6Aは、触媒中の種々のシリカ対アルミナのモル比に対し、炭素収率をプロットしたものである。図6Bは、ある一連の実施形態に係る、触媒中の種々のシリカ対アルミナのモル比に対し、ベンゼン(Ben.)、トルエン(Tol.)、エチル−ベンゼンおよびキシレン(E−Ben.、Xyl.)、メチル−エチル−ベンゼンおよびトリメチル−ベンゼン(m,e−Ben.、tmBen.)、インダン(Ind.)、ナフタレン(Nap.)の供給物に対する芳香族化合物の選択率をプロットしたものである。 図7は、ある一連の実施形態に係る、反応器が2つの触媒熱分解プロセスの概略図である。 図8Aは、種々の炭化水素系原材料に対し、炭素収率をプロットしたものである。図8Bは、ある一連の実施形態に係る、種々の炭化水素系原材料に対し、ベンゼン(Ben.)、トルエン(Tol.)、エチル−ベンゼンおよびキシレン(E−Ben.、Xyl.)、メチル−エチル−ベンゼンおよびトリメチル−ベンゼン(m,e−Ben.、tmBen.)、インダン(Ind.)、ナフタレン(Nap.)の供給物に対する芳香族選択率をプロットしたものである。 図8Aは、種々の炭化水素系原材料に対し、炭素収率をプロットしたものである。図8Bは、ある一連の実施形態に係る、種々の炭化水素系原材料に対し、ベンゼン(Ben.)、トルエン(Tol.)、エチル−ベンゼンおよびキシレン(E−Ben.、Xyl.)、メチル−エチル−ベンゼンおよびトリメチル−ベンゼン(m,e−Ben.、tmBen.)、インダン(Ind.)、ナフタレン(Nap.)の供給物に対する芳香族選択率をプロットしたものである。 図9は、ある一連の実施形態に係る、単位質量あたりの芳香族化合物発生量およびエネルギー量を理論収率の関数としてプロットしたものを含む。 図10は、ある一連の実施形態にしたがってグルコースをZSM5で触媒熱分解した場合の、CO(■)、芳香族化合物(▲)、CO2(Δ)、コークス(●)の炭素収率を反応温度の関数としてプロットしたものである。 図11は、ある一連の実施形態にしたがってグルコースをZSM−5で触媒熱分解した場合の、CO(■)、芳香族化合物(▲)、CO2(Δ)の炭素収率をSi対Alのモル比の関数としてプロットしたものである。 図12は、ある一連の実施形態について、オレフィンおよび芳香族化合物の炭素収率を空間速度の関数としてまとめたグラフである。 図13は、ある一連の実施形態に係る、種々の化合物の炭素収率を示すグラフである。 図14は、流動床反応器を使用する、ある一連の実施形態の概略図である。 図15は、ある一連の実施形態について、芳香族化合物およびオレフィンの生成収率をまとめてプロットしたものである。 図16Aは、ある一連の実施形態に係る、オレフィンおよび芳香族化合物の収率を空間速度の関数としてプロットしたものを含む。図16Bは、ある一連の実施形態に係る、オレフィンおよび芳香族化合物の選択率を空間速度の関数としてプロットしたものを含む。 図17は、ある一連の実施形態に係る、ゼオライト触媒の例示的なNorman半径に調節された孔径の表を含む。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図15 図16A 図16B 図17 [0027] 詳細な説明 本明細書には、バイオ燃料、芳香族化合物、オレフィン化合物のような生化学物質を製造するための本発明の組成物および方法を開示しており、より特定的には、触媒熱分解を経て生化学物質を製造するための組成物および方法を開示している。いくつかの実施形態は、流体(例えば、液体、超臨界流体、および/または気体)の炭化水素生成物、例えば、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、キシレンなど)、オレフィン(例えば、エテン、プロペン、ブテンなど)を、触媒熱分解プロセス(例えば、触媒による急速熱分解)を経て製造する方法に関する。特定の実施形態では、炭化水素生成物またはその一部分は、標準的な周囲温度および周囲圧力(SATP−すなわち、25℃、絶対圧100kPa)で液体である。このようないくつかの方法は、固体炭化水素系材料および不均一な熱分解触媒成分の混合物を含む組成物を使用することを含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、この混合物は、高温(例えば、500℃〜1000℃)で熱分解されてもよい。別個の特定可能な炭化水素流体生成物を製造するのに少なくとも部分的に十分な時間をかけて、熱分解が行われてもよい。いくつかの実施形態は、触媒および炭化水素系材料の混合物を比較的大きな加熱速度(例えば、約400℃/秒〜約1000℃/秒)で加熱することを含んでいる。本明細書に記載の方法はまた、特化した触媒の使用を含んでいてもよい。例えば、いくつかの場合には、ゼオライト触媒を使用し;場合により、本明細書で使用する触媒は、シリカ対アルミナのモル比が高いものであってもよい。いくつかの場合、熱分解反応器に供給される組成物は、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比が比較的高い(例えば、約5:1〜約20:1)。] [0028] いくつかの実施形態は、バイオマスを熱分解する一段階の方法を対象としたものであってもよい。このような方法は、一段階熱分解装置を用意すること、または使用することを含んでいてもよい。一段階熱分解装置とは、熱分解、それに次ぐ触媒反応が1個の容器で行われる装置である。いくつかの実施形態では、一段階熱分解装置は、流動床反応器を備えている。以下にさらに詳細に記載するように、炭化水素流体生成物を製造するために、多段階装置も使用してもよい。] [0029] 本明細書で使用する場合、用語「熱分解」および「熱分解すること」は、当該技術分野での従来の意味を与えられており、酸化せずに熱のみによって、化合物(例えば、炭化水素系材料)を1つ以上の他の基質(例えば、揮発性有機化合物、気体、コークス)に変換することを指すために用いられ、この変換は、触媒を使用して行ってもよいし、使用せずに行ってもよい。「触媒熱分解」は、触媒存在下で行われる熱分解を指し、以下にさらに詳細に記載するような工程を含んでいてもよい。触媒熱分解プロセスの例は、例えば、Huber,G.W.ら、「Synthesis of Transportation Fuels from Biomass:Chemistry,Catalysts,and Engineering”Chem.Rev.106、(2006)、pp.4044−4098に概説されており、その内容は、参考により本明細書に援用される。] [0030] 本明細書で使用する場合、用語「バイオマス」は、当該技術分野での従来の意味を与えられており、再生可能な任意の有機エネルギー源または化学物質を指すために使用される。主要な構成要素は、(1)木(木材)およびすべての他の草木;(2)農業製品および農業廃棄物(トウモロコシ、果実、ゴミのエンシレージ(garbage ensilage)など);(3)藻類および他の海洋植物;(4)代謝廃棄物(肥料、汚物);(5)セルロース系都市廃棄物であってもよい。バイオマス材料の例は、例えば、Huber,G.W.ら、「Synthesis of Transportation Fuels from Biomass:Chemistry,Catalysts,and Engineering」Chem.Rev.106、(2006)、pp.4044−4098に記載されている。] [0031] 本願発明者らは、本発明との関連で、いくつかの反応について、反応条件における特定の変更、およびこのような変更の組み合わせによって、反応条件の変更以外の方法では得ることができないような、好ましい生成物を製造し、および/または好ましい収率を得ることができ、コークスの生成収率を下げることができ、および/または、生成物の形成をより制御することができる(例えば、他の燃料と比較して、芳香族化合物および/またはオレフィンの製造量が高い)ことを発見した。例えば、高温(例えば、反応器内および/または分離器内で)を用いることによって、低温では起こり得ない好ましい生成物を生成することがあり、および/または反応から好ましい収率を得ることがある。本願発明者らはまた、本発明との関連で、いくつかの場合には、供給流(例えば、気体状または液体の炭化水素系材料、固体炭化水素系材料、固体炭化水素系材料と固体触媒との混合物など)を、反応器に入れる際に、比較的速い速度で加熱することが有利な場合があることも発見した。また、本願発明者らは、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比が高い供給物を用意することによって、芳香族生成物および/またはオレフィン生成物を望ましい収率で製造可能なことを見いだした。例えば、理論によって束縛されることを望まないが、本願発明者らは、現時点では、加熱速度を高くし、供給物を基準とした触媒の質量比を大きくすると、炭化水素系供給物の熱分解から生成する揮発性有機化合物を、熱分解する前に触媒に導入することが容易になり、これにより、芳香族化合物および/オレフィン化合物の収率が高くなると考えている。また、質量正規化空間速度を比較的小さな値にすることで、芳香族化合物および/オレフィン化合物を望ましい収率で製造することも示されている。それに加えて、本願発明者らは、システムの高温要素(例えば、反応器および/または分離器)内に炭化水素系材料が存在する滞留時間を比較的長くすると、望ましい生成物が形成するためのさらなる化学反応に十分な時間が確保できることを発見した。] [0032] 本願発明者らはまた、本発明との関連で、特殊な性質を有する触媒を使用することが、比較的大量の芳香族生成物および/またはオレフィン生成物を形成するのに有用な場合があることを発見した。例えば、特定の実施形態では、ZSM−5は、特定の条件と組み合わせて、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を優先的に製造することがわかった。さらに、Bronstead酸性部位および/または秩序だった孔構造を有する特定の触媒が、いくつかの場合には、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を選択的に製造することがわかった。また、いくつかの場合には、製造する生成化合物の量および種類に影響を与えるような孔径の触媒を使用してもよい。] [0033] 本明細書に記載の実施形態はまた、触媒熱分解を行うために使用される化学プロセス設計を含む。いくつかの場合には、このプロセスは、1つ以上の流動床反応器を含んでいてもよい(例えば、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器、バブリング式流動床反応器など)。本明細書に記載されるプロセス設計は、場合により、1つ以上の反応器に供給される物質の特殊な取り扱いを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、供給材料を反応器に送る前に、乾燥し、冷却し、および/または粉砕してもよい。本発明の他の局面は、本明細書に記載されるプロセス設計を用いて生成組成物を製造することに関する。] [0034] 全体的な熱/触媒変換プロセスの特定の作用態様または工程順序に束縛されないが、触媒熱分解は、炭化水素系材料(例えば、セルロースのような固体バイオマス)を少なくとも部分的に熱によって熱分解し、1つ以上の熱分解生成物(例えば、揮発性有機物、気体、固体コークスなど)を製造すること、および炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で、触媒を用いて、1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を触媒反応させることを含むと考えられる。触媒反応は、揮発性有機物を触媒(例えば、ゼオライト触媒)に入れ、ここで、揮発性有機物を、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、水、コークスに加え、芳香族化合物およびオレフィンのような炭化水素に変換することを含んでいてもよい。触媒内部または触媒と接触したときに、バイオマスに由来する種は、芳香族化合物、オレフィン、CO、CO2および水を生じさせる、一連の脱水反応、脱カルボニル化反応、脱炭酸反応、異性化反応、オリゴマー化反応および脱水素化反応を受けてもよい。芳香族化合物および/またはオレフィンを選択的に製造する上での課題は、コークスの形成を最小にすることである。例えば、キシリトールおよびグルコースを、トルエン、CO、H2Oに変換する全体的な化学量論は、それぞれ、式1および式2で示される。] [0035] これらの式に示されているように、芳香族化合物を製造する場合、バイオマスに由来する種から、CO(またはCO2)およびH2Oの組み合わせとして酸素を除去しなければならない。キシリトールおよびグルコースの場合、トルエンの最大理論収率は、それぞれ、76%および63%である。図9は、ある一連の実施形態に係る、単位質量あたりの芳香族化合物発生量およびエネルギー量を理論収率の関数としてプロットしたものを含む。図9では、「発生量」の軸は、プロセスに供給されるバイオマス1メートルトンあたり、このプロセスによって製造する芳香族化合物のガロン数に対応する。「エネルギー」の軸は、このプロセスに供給されるバイオマス1メートルトンあたりの、芳香族生成物のエネルギー量(燃焼熱を用いて算出)に対応する。この図は、製造した芳香族化合物の量を、式2で算出した芳香族化合物の量で割ったものを示す曲線を含んでおり、この曲線から、供給バイオマスが、炭水化物を75重量%含有することが推測される。] 図9 [0036] バイオマス変換に関連する他の課題は、酸素を除去し、炭化水素生成物の水素含有量を高めることである。一般に、有効水素対炭素モル比と称される因子(H/Ceff)は、バイオマスに由来する含酸素物を有効に変換するのに必要な化学を示す。] [0037] グルコース、ソルビトール、グリセロール(すべて、バイオマスに由来する化合物)のH/Ceffモル比は、それぞれ、0、1/3、2/3である。比較すると、石油に由来する供給物のH/Ceffモル比は、2よりわずかに大きい値(液体アルカンの場合)から、1(ベンゼンの場合)の範囲である。この点で、バイオマスは、石油に由来する供給原料と比較して、水素が不足していると考えることができる。] [0038] 燃料製造のこのようないくつかの課題および他の課題に、本明細書に記載の方法およびプロセスを利用して対処することができる。例えば、特に、触媒の選択、炭化水素系材料の選択、加熱速度、反応温度、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比(例えば、供給物流中、反応器中、など)、触媒のシリカ対アルミナのモル比、質量正規化空間速度、種々の処理要素中の滞留時間を含む種々のプロセスパラメーターを制御することによって、炭化水素系材料供給物から、例えば、芳香族化合物および/またはオレフィンを制御可能に製造することができる。いくつかの実施形態では、プロセスパラメーターは、コークス形成速度が比較的小さくなるように選択してもよい。] [0039] ある局面では、炭化水素系材料を反応させる化学プロセスが記載されている。このプロセスは、いくつかの実施形態では、反応器(例えば、流動床反応器)内で、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を熱分解する工程を含んでいてもよい。それに加えて、このプロセスは、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で、触媒を用い、1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を触媒反応させる工程を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、脱水反応、脱カルボニル化反応、脱炭酸反応、異性化反応、オリゴマー化反応および脱水素化反応によって、上述の熱分解生成物から1つ以上の炭化水素流体生成物を製造してもよい。熱分解および触媒反応のプロセスは、いくつかの場合には、1個の反応器内で行われてもよい。いくつかの場合には、特殊な炭化水素流体生成物(例えば、芳香族化合物および/またはオレフィン)を製造するための化学プロセスを使用してもよい。] [0040] 図1は、ある一連の実施形態に係る、触媒熱分解を行うのに使用される例示的な化学プロセス設計の概略図を含む。いくつかの実施形態では、このようなプロセスを、触媒熱分解を行うために使用してもよい。図1の例示的な実施形態に示したように、供給流10は、反応器20に供給されるであろう炭化水素系材料を含む供給組成物を含む。炭化水素系材料は、一般的に、酸素、窒素、硫黄のような少量の他の元素とともに、炭素および水素を含んでいてもよく、ここで、炭素は、質量で最も豊富に含まれる成分である。供給組成物中の炭化水素系材料は、固体、液体、および/または気体を含んでいてもよい。特定の炭化水素系材料の例を以下に提示する。] 図1 [0041] いくつかの実施形態では、供給組成物(例えば、図1の供給流10)は、炭化水素系材料と触媒との混合物を含む。この混合物は、例えば、固体、液体、および/または気体を含んでいてもよい。特定の実施形態では、この混合物は、固体触媒と固体炭化水素系材料との組成物を含む。他の実施形態では、触媒は、供給組成物とは別個に用意されてもよい。以下にさらに詳細に記載するように、種々の触媒を用いてもよい。例えば、いくつかの場合、シリカ対アルミナのモル比が様々なゼオライト触媒および/または孔径が様々なゼオライト触媒を用いてもよい。] 図1 [0042] いくつかの実施形態では、例えば固体炭化水素系材料を用いる場合、水分12は、場合により、反応器に供給される前に、例えば、任意の乾燥器14によって供給組成物から除去されてもよい。供給流から水分を除去することは、いくつかの理由で有利な場合がある。例えば、供給流中の水分によって、熱分解を達成するのに十分高い温度に供給物を加熱するために、さらなるエネルギーを注入することが必要な場合がある。供給流の含水率が変動することによって、反応器の温度を制御するのが困難になる場合がある。それに加えて、供給流から水分を除去すると、その後の処理工程中、水を処理する必要性が減るか、または必要性がなくなる場合がある。] [0043] いくつかの実施形態では、供給組成物は、供給組成物に含まれる水が約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満になるまで乾燥してもよい。供給組成物から水を除去することが可能な適切な機器は、当業者に知られている。一例として、ある一連の実施形態では、乾燥器は、オーブンを備えており、このオーブンを、特定の温度(例えば、少なくとも約80℃、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、またはそれより高い温度)まで加熱し、その中を供給組成物が、連続的、半連続的、または周期的に通る。いくつかの場合には、乾燥器は、中で供給組成物がバッチとして処理される真空チャンバを備えていてもよい。乾燥器の他の実施形態は、真空操作と高温とを組み合わせてもよい。乾燥器は、反応器と一体化するように接続されていてもよく、または、反応器とは別個のユニットとして用意されてもよい。] [0044] いくつかの例では、供給物が反応器を通る前に、供給組成物の粒径を、任意の粉砕システム16で小さくしてもよい。いくつかの実施形態では、粉砕システムを出る際の、粉砕した供給組成物の平均径は、粉砕システムに供給される供給組成物の平均径の約50%以下、約25%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下のものを含んでいてもよい。大きな粒子の供給材料は、小さな粒子の供給材料よりも輸送が簡単であり、散らかりにくい場合がある。一方、いくつかの場合には、反応器に小さな粒子を供給することが有利な場合がある(以下に記載したように)。粉砕システムを使用すると、反応器に小さな粒子を供給することを可能にしつつ、供給源とプロセスとの間を大きな粒子の供給物を輸送することが可能となる。] [0045] 供給組成物を粉砕することが可能な適切な機器は、当業者に知られている。例えば、粉砕システムは、産業用ミル(例えば、ハンマーミル、ボールミルなど)、ブレード付ユニット(例えば、チッパー、シュレッダーなど)、または任意の適切な種類の粉砕システムを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、粉砕システムは、冷却システム(例えば、ポンプ式流体熱交換器のような能動的な冷却システム、フィンを含むシステムのような受動的な冷却システムなど)を備えていてもよく、供給組成物を反応器に導入する前に、冷却システムを用い、供給組成物を比較的低い温度(例えば、周囲温度)に維持してもよい。粉砕システムは、反応器と一体化するように接続されていてもよく、または、反応器とは別個のユニットとして用意されてもよい。粉砕工程は、図1では乾燥工程の後に示されているが、これらの操作の順序は、いくつかの実施形態では、逆であってもよい。さらに他の実施形態では、乾燥工程および粉砕工程は、一体化したユニットを用いて達成されてもよい。] 図1 [0046] いくつかの場合には、炭化水素系材料の粉砕および冷却は、別個のユニットを用いて達成してもよい。炭化水素系材料を冷却することは、例えば、供給材料を反応器に通す前に起こる供給材料の望ましくない分解を減らすか、または防ぐために望ましい場合がある。ある一連の実施形態では、炭化水素系材料を、粉砕した炭化水素系材料を製造するための粉砕システムに通してもよい。次いで、粉砕した炭化水素系材料を、粉砕システムから冷却システムに通し、冷却してもよい。炭化水素系材料を反応器に導入する前に、炭化水素系材料を、約300℃未満、約200℃未満、約100℃未満、約75℃未満、約50℃未満、約35℃未満、または約20℃未満の温度に冷却してもよい。冷却システムの使用を含む実施形態では、冷却システムは、バイオマスの温度を下げることが可能な能動的な冷却ユニット(例えば、熱交換器)を備えている。いくつかの実施形態では、乾燥器、粉砕システム、冷却システムのうち、2つ以上を1個のユニットで組み合わせてもよい。冷却システムは、いくつかの実施形態では、1つ以上の反応器に直接組み込まれていてもよい。] [0047] 図1に示すように、供給組成物を反応器20に移してもよい。いくつかの場合、炭化水素系材料の触媒熱分解を実施するために、この反応器を使用してもよい。図1の例示的な実施形態では、反応器は、当業者に知られている任意の適切な反応器を備えている。例えば、いくつかの場合、反応器は、特に、連続攪拌式のタンク反応器(CSTR)、バッチ式反応器、半バッチ式反応器、または固定床の触媒反応器を備えていてもよい。いくつかの場合には、反応器は、流動床反応器、例えば、循環式流動床反応器を備えている。流動床反応器は、いくつかの場合には、熱分解および/またはその後の反応の間、触媒および/または炭化水素系材料の混合が改良され、これにより、形成した反応生成物の制御性が高まる場合がある。また、流動床反応器を使用すると、反応器内の熱移動が改良される場合がある。それに加えて、流動床反応器での混合が改良されると、触媒に付着するコークスの量が減る場合があり、これにより、いくつかの場合には、触媒の不活性化度が減る。] 図1 [0048] 本明細書で使用する場合、用語「流動床反応器」は、当該技術分野での従来の意味を与えられており、顆粒状の固体材料(例えば、シリカ粒子、触媒粒子など)を含有してもよい容器を備える反応器を指すために用いられ、この反応器内で、流体(例えば、気体または液体)が、固体材料を懸濁させるのに十分大きな速度で顆粒状固体を通り抜け、固体材料がまるで流体であるかのようにふるまう。流動床反応器の例は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(オンライン)、第11巻、Hoboken,N.J.:Wiley−Interscience、c2001−、791−825頁に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。また、用語「循環式流動床反応器」は、当該技術分野での従来の意味を与えられており、顆粒状固体材料が、反応器を出て、反応器に対して流体連通するように連結されるラインを通って循環し、反応器に戻されるような流動床反応器を指すために用いられている。循環式流動床反応器の例は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(オンライン)、第11巻、Hoboken,N.J.:Wiley−Interscience、c2001−、791−825頁に記載されている。] [0049] バブリング式流動床反応器および乱流式流動床反応器もまた、当業者に知られている。バブリング式流動床反応器では、顆粒状固体材料を流動化させるのに使用する流体の流れを、操作中に、流動床の容積内に、泡および空隙が観察されるのに十分な低速で操作する。乱流式流動床反応器では、流動化させる流れの流速は、バブリング式流動床反応器で使用する流れよりも速く、したがって、操作中に、流動床の容積内に、泡および空隙は観察されない。バブリング式流動床反応器および乱流式流動床反応器の例は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(オンライン)、第11巻、Hoboken,N.J.:Wiley−Interscience、c2001−、791−825頁に記載されており、これらは、参照により本明細書に援用される。] [0050] 反応器は、本明細書で記載するプロセスを行うのに適切な任意の大きさであってもよい。例えば、反応器は、容積が、0.1〜1L、1〜50L、50〜100L、100〜250L、250〜500L、500〜1000L、1000〜5000L、5000〜10,000L、または10,000〜50,000Lであってもよい。いくつかの場合、反応器の容積は、約1Lより大きくてもよく、または他の場合、約10Lより大きく、約50Lより大きく、約100Lより大きく、約250Lより大きく、約500Lより大きく、約1,000Lより大きく、または約10,000Lより大きくてもよい。容積が50,000Lより大きな反応器も可能である。反応器は、円筒形、球形であってもよく、または任意の他の適切な形状であってもよい。] [0051] 本願発明者らは、バイオ燃料の製造収率を高めること、コークス形成収率を低くすること、および/または生成物の形成をより制御すること(例えば、他の生成物と比較して、芳香族化合物および/またはオレフィンの収率を高めること)は、反応条件およびシステム構成要素の特定の組み合わせを、本明細書に記載の方法およびシステムで実施する場合に達成可能であることを発見した。例えば、反応器および/または分離器の温度、反応器の圧力、供給流の加熱速度、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比、質量正規化空間速度、反応器内での炭化水素系材料の滞留時間、分離器内での反応生成物の滞留時間、および/または触媒の種類(および、ゼオライト触媒の場合、シリカ対アルミナのモル比)のような反応条件を制御し、以下に記載するような有益な結果を得ることができる。] [0052] 反応器は、任意の適切な温度で操作されてもよい。いくつかの場合、反応器を比較的高い温度で操作することが望ましい場合がある。例えば、反応器を、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、少なくとも約500℃、少なくとも約600℃、少なくとも約700℃、少なくとも約800℃、少なくとも約900℃、または少なくとも約1000℃の温度で操作してもよい。いくつかの実施形態では、反応器を、約500℃〜約1000℃、約525℃〜約800℃、約550℃〜約700℃、または約575℃〜約650℃の温度で操作してもよい。他の実施形態では、反応器を、約500℃〜約600℃で操作してもよい。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、操作温度が比較的高いと、望ましい反応生成物が形成され、および/または望ましくない生成物の形成が阻害されるか、または低下するような方向に反応の速度論が影響を受ける場合がある。図10は、ある特定の実施形態にしたがってグルコースをZSM−5触媒で触媒熱分解した場合の種々の生成物の炭素収率を反応温度の関数としてプロットしたものを含む。図10の例示的な実施形態では、芳香族化合物の収率(黒三角で示されている)が、温度が400℃から800℃まで上昇するにつれて増加していることを注記しておく。それに加えて、生成するコークスの相対量は、温度が400℃から800℃まで上昇するにつれて減少している。しかし、他の実施形態では、もっと低い温度を用いてもよい。] 図10 [0053] 反応器を、任意の適切な圧力で操作してもよい。いくつかの実施形態では、反応器を、約1〜4atmの圧力で操作してもよい。いくつかの実施形態では、反応器を、少なくとも約1atm、少なくとも約2atm、少なくとも約3atm、または少なくとも約4atmの圧力で操作してもよい。] [0054] 本願発明者らは、特定の実施形態では、供給流(例えば、気体状炭化水素系材料、固体炭化水素系材料、固体炭化水素系材料と固体触媒との混合物など)を、反応器に入れる際に、比較的速い速度で加熱することが有利な場合があることを発見した。多くの理由で、加熱速度が大きいことは、有利な場合がある。例えば、加熱速度が大きいと、固体バイオマスの塊から触媒の反応剤部位に反応剤を物質移動する速度が大きくなる場合がある。このことにより、例えば、炭化水素系材料が、一般的に望ましくない生成物(例えば、コークス)に完全に熱分解する前に、炭化水素系材料の熱分解中に形成した揮発性有機化合物を触媒に導入しやすくなる場合がある。それに加えて、加熱速度が大きいと、反応剤が中間的な温度(すなわち、供給物の温度と、望ましい反応速度との間の温度)にさらされる時間が短くなる場合がある。反応剤が中間的な温度にさらされる時間が延びると、望ましくない分解経路および/または反応経路を経て、望ましくない生成物が形成されてしまうことがある。供給流を反応器に入れる際に、供給流を加熱するのに適切な加熱速度の例としては、例えば、約50℃/秒より大きな速度、約100℃/秒よりも大きな速度、約200℃/秒より大きな速度、約300℃/秒より大きな速度、約400℃/秒より大きな速度、約500℃/秒より大きな速度、約600℃/秒より大きな速度、約700℃/秒より大きな速度、約800℃/秒より大きな速度、約900℃/秒より大きな速度、約1000℃/秒、またはより大きな速度が挙げられる。いくつかの場合には、供給流を、約500℃/秒〜約1000℃/秒の加熱速度で加熱してもよい。いくつかの実施形態では、供給流を反応器に入れる際に、供給流を加熱する加熱速度は、約50℃/秒〜約1000℃/秒、または約50℃/秒〜約400℃/秒であってもよい。] [0055] いくつかの実施形態では、望ましい数々の炭化水素流体生成物を選択的に製造するために、炭化水素系材料の質量正規化空間速度を選択してもよい。本明細書で使用する場合、用語「質量正規化空間速度」は、反応器に入る炭化水素系材料の質量流量(例えば、g/hrで測定される)を、反応器中の触媒の質量(例えば、gで測定される)で割ったものであると定義され、単位は、時間の逆数である。反応器内の炭化水素系材料の質量正規化空間速度は、使用した反応器の種類によって異なる方法を用いて算出してもよい。例えば、バッチ式反応器または半バッチ式反応器を使用するシステムでは、炭化水素系材料は、質量正規化空間速度を有していない。反応中に、触媒が反応器に供給され、および/または反応器から抽出されるシステム(例えば、循環式流動床反応器)では、質量正規化空間速度は、操作(例えば、定常状態の操作)時間中に、反応器の容積内にある触媒の平均量を算出することによって決定してもよい。] [0056] 本明細書に記載の実施形態において、任意の適切な質量正規化空間速度を使用してもよい。いくつかの場合、約10時間−1未満、約5時間−1未満、約1時間−1未満、約0.5時間−1未満、約0.1時間−1未満、約0.05時間−1未満、または約0.01時間−1未満の質量正規化空間速度を使用してもよい。いくつかの実施形態では、約0.01時間−1〜約10時間−1、約0.01時間−1〜約5時間−1、約0.01時間−1〜約0.1時間−1、約0.1時間−1〜約1時間−1、または約1時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度を使用してもよい。いくつかの実施形態では、流動床反応器を用い、約1時間−1未満、約0.5時間−1未満、約0.1時間−1未満、約0.05時間−1未満、約0.01時間−1未満、約0.01時間−1〜約0.1時間−1、または約0.1時間−1〜約1時間−1の質量正規化空間速度を使用することが有利な場合もある。] [0057] いくつかの実施形態は、炭化水素系材料の質量正規化空間速度を、異なる炭化水素流体生成物を選択的に製造するように変える工程を含む。例えば、いくつかの実施形態では、炭化水素系材料の質量正規化空間速度を変えることによって、反応生成物中の芳香族化合物およびオレフィン化合物の相対量を制御してもよい。例えば、オレフィンよりも相対的に多い量の芳香族化合物を製造するために、比較的低い質量正規化空間速度を用いてもよい。芳香族化合物よりも相対的に多い量のオレフィンを製造するために、比較的大きい質量正規化空間速度の炭化水素系材料を用いてもよい。いくつかの実施形態では、オレフィン化合物を選択的に製造するために、約0.1時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で、固体炭化水素系材料を流動床反応器に用意してもよく、または、芳香族化合物を選択的に製造するために、約0.01時間−1〜約0.1時間−1の質量正規化空間速度で、固体炭化水素系材料を流動床反応器に用意してもよい。] [0058] いくつかの場合、炭化水素系材料(例えば、固体炭化水素系材料)が反応器内に存在する滞留時間を制御し、および/または、一連の規定した反応条件(すなわち、炭化水素系材料が、所与の反応器システムで熱分解を受けることが可能な条件)になるように制御することが有利である。連続的なフローシステムにおいて、炭化水素系材料の反応器内での滞留時間は、炭化水素系材料と、炭化水素系材料から形成される任意の反応生成物(反応器内に蓄積する生成物、例えば、触媒に堆積したコークスを除く)とが反応器内にとどまっている時間であると定義される。炭化水素系材料の反応器中での滞留時間は、使用した反応器の種類によって異なる方法を用いて算出してもよい。例えば、反応器が、充填床を有する反応器を備えており、この反応器に炭化水素系材料のみが連続的に供給される(すなわち、担体または流動化流体を利用しない)実施形態では、炭化水素系材料の反応器中での滞留時間は、本明細書で使用する場合、反応器の容積を、反応器を出て行く気体反応生成物の体積流量で割ることによって決定することができる。操作中に物質の流れが閉じられている反応器で反応が起こる場合(例えば、バッチ式反応器)には、炭化水素系材料がこのような反応器内に存在する滞留時間は、炭化水素系材料を含有する反応器内の温度が、熱分解反応を始めるのに十分なレベルに到達するとき(例えば、典型的に、多くの典型的な炭化水素系供給原料物質の場合の約300℃〜約1000℃)から、反応器の反応を停止させるとき(例えば、さらなる熱分解を起こさせるのに十分な温度、例えば、典型的に、多くの典型的な炭化水素系供給原料物質の場合の約300℃〜約1000℃よりも低い温度に冷却する)までの経過時間であると定義される。] [0059] いくつかの場合には、例えば、特定の流動床反応器の場合、反応器の供給流は、補助的な材料(すなわち、炭化水素系材料以外のもの)を含む供給流を含んでいてもよい。例えば、流動床を反応器として使用する特定の場合では、供給流は、流動化流体を含んでいてもよい。循環式流動床を使用する場合、触媒および流動化流体を、両方とも反応器に供給/再循環させてもよい。いくつかの場合には、補助的な材料は、炭化水素系材料に取り込まれた汚染物質を含んでいてもよい。このような場合、炭化水素系材料の反応器中での滞留時間は、反応器の容積を、上述の充填床の状況で用いるような反応器を出て行く炭化水素系材料および気体反応生成物の体積流量で割ることによって決定することができる。しかし、反応器を出て行く炭化水素系材料および気体反応生成物の体積流量は、直接決定するのは簡単ではない場合があり、反応器を出て行く炭化水素系材料および気体反応生成物の体積流量は、反応器内の補助的な材料(例えば、流動化流体、触媒、汚染物質など)の体積流量を、反応器を出て行く気体の流れの体積流量を合計したものから引くことによって概算してもよい。] [0060] いくつかの実施形態では、材料(例えば、炭化水素系材料または任意の他の適切な供給材料)が反応器内に存在する滞留時間は、少なくとも約2秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約120秒、少なくとも約240秒、または少なくとも約480秒である。いくつかの場合には、材料(例えば、炭化水素系材料または任意の他の適切な供給材料)が反応器内に存在する滞留時間は、約5分未満、約1分未満、約4分未満、または約2秒〜約480秒である。以前の「急速熱分解」試験は、多くの場合、供給材料(例えば、炭化水素系材料)の滞留時間が非常に短い(例えば、2秒未満)システムを使用している。しかし、本願発明者らは、いくつかの場合には、比較的長い滞留時間を使用すると、望ましい生成物を形成するためのさらなる化学反応に十分な時間が確保できることを発見した。例えば、反応器の容積を大きくし、および/または、炭化水素系材料の体積流量を減らすことによって、長い滞留時間を達成することができる。しかし、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、供給材料(例えば、炭化水素系材料)の滞留時間を比較的短くしてもよい(例えば、約2秒未満または約1秒未満)ことが理解されるべきである。] [0061] 流動床反応器を使用する特定の場合では、反応器内の供給材料(例えば、固体炭化水素系材料)を、流体の流れを反応器に流すことによって流動化してもよい。図1の例示的な実施形態では、反応器20内の供給材料を流動化するために、流体の流れ44を使用する。流体源24および/または反応器の生成物流から、流体を、コンプレッサ26(以下にさらに詳細に記載する)を経て流体の流れに送ってもよい。本明細書で使用する場合、用語「流体」は、一般的に、液体状態、超臨界状態、気体状態の物質を意味する。しかし、流体はまた、例えば、懸濁した粒子またはコロイド状粒子のような固体を含有していてもよい。いくつかの実施形態では、流動化流体が反応器内に存在する滞留時間を制御することが有利な場合がある。流動化流体の滞留時間は、反応器の容積を、流動化流体の体積流量で割ることであると定義される。いくつかの場合には、流動化流体の滞留時間は、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約120秒、少なくとも約240秒、または少なくとも約480秒であってもよい。いくつかの場合には、流動化流体の滞留時間は、約2秒〜約480秒、約5秒〜約480秒、約10秒〜約480秒、約30秒〜約480秒、約60秒〜約480秒、約120秒〜約480秒、または約240秒〜約480秒であってもよい。] 図1 [0062] 本発明で使用可能な適切な流動化流体としては、例えば、特に、不活性気体(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオンなど)、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素が挙げられる。] [0063] 図1の例示的な実施形態で示されるように、炭化水素系材料の反応中に形成される生成物(例えば、炭化水素流体生成物)は、生成物流30を経て反応器を出る。反応生成物に加え、生成物流は、いくつかの場合には、未反応の炭化水素系材料、流動化流体、および/または触媒を含んでいてもよい。ある一連の実施形態では、望ましい反応生成物(例えば、液体芳香族炭化水素、オレフィン炭化水素、気体状生成物など)は、反応器の流出流から回収されてもよい。図1の例示的な実施形態で示されるように、生成物流は、任意の分離器32に供給されてもよい。いくつかの場合には、生成物流に存在する触媒(例えば、少なくとも部分的に不活性化した触媒)から反応生成物を分離するために、分離器を使用してもよい。それに加えて、いくつかの場合、触媒からコークスおよび/または灰分を除去するために、分離器を使用してもよい。いくつかの実施形態では、分離器は、任意のパージ流33を備えていてもよく、これを使用し、コークス、および/または触媒を分離器から取り除いてもよい。] 図1 [0064] 分離工程および/またはデコーキング工程を達成するのに必要な機器は、普通の当業者が簡単に設計することができる。例えば、ある一連の実施形態では、分離器は、容器の保持部分と透過部分とを規定するメッシュ材料を備える容器を備えていてもよい。メッシュは、反応生成物を透過部分に通しつつ、保持部分に触媒を保持する役割を果たしていてもよい。触媒を、メッシュの保持部分にあるポートを通って分離器から外に出してもよく、一方、反応生成物を、メッシュの透過側にあるポートから外に出してもよい。分離器および/またはデコーキング器(decoker)の他の例は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(オンライン)、第11巻、Hoboken,N.J.:Wiley−Interscience、c2001−、700−734頁;およびC.D.CooperおよびF.C.Alley.Air Pollution Control,A Design Approach.、第2版、Prospect Heights,Illinois:Waveland Press,Inc.c1994、127−149頁にさらに詳細に記載されており、本明細書に参考として援用されている。] [0065] 分離器を、任意の適切な温度で操作してもよい。いくつかの実施形態では、分離器を高温で操作してもよい。本願発明者らは、特定の反応について、分離器内で高温を使用することにより、この反応器から得られる化合物をさらに改質/反応させることができることを発見した。これにより、望ましい生成物の形成量を増やすことが可能な場合がある。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、分離器内を高温にすると、吸熱性の改質反応を起こすのに十分なエネルギーが得られる場合がある。分離器を、例えば、約25℃〜約200℃、約200℃〜約500℃、約500℃〜約600℃、または約600℃〜約800℃の温度で操作してもよい。いくつかの場合には、分離器を、少なくとも約500℃、少なくとも約600℃、少なくとも700℃、少なくとも800℃、またはそれより高い温度で操作してもよい。] [0066] いくつかの場合には、触媒が分離器内に存在する滞留時間を制御することが有利な場合がある。分離器での触媒の滞留時間は、分離器の容積を、分離器を流れる触媒の体積流量で割ったものであると定義される。いくつかの場合には、かなりの量の灰分、コークスおよび/または触媒から生じる他の望ましくない生成物を除去しやすくするために、分離器内に存在する触媒の滞留時間が比較的長いことが望ましい場合がある。それに加えて、本願発明者らは、分離器内で比較的長い触媒の滞留時間を利用することによって、熱分解生成物がさらに反応し、望ましい生成物が得られる場合があることを発見した。いくつかの実施形態では、分離器内での滞留時間および温度は、所望の生成物流が生じるように合わせて選択される。いくつかの実施形態では、分離器内に存在する触媒の滞留時間は、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約120秒、少なくとも約240秒、少なくとも約300秒、少なくとも約600秒、または少なくとも約1200秒である。分離器内に存在する触媒の滞留時間を制御する方法は、当業者に知られている。例えば、いくつかの場合には、分離器の内壁に、分離器を通る触媒の流れを制限するという役割および/または分離器内で流体が流れる経路長を長くするという役割を果たすために、バッフルを備えていてもよい。これに加えて、または代替として、分離器内に存在する触媒の滞留時間は、分離器を流れる触媒の流速を制御することによって(例えば、反応器を流れる流動化流体の流速を制御することによって)制御してもよい。] [0067] 分離器は、任意の適切な大きさであってもよい。例えば、分離器は、容積が、0.1〜1L、1〜50L、50〜100L、100〜250L、250〜500L、500〜1000L、1000〜5000L、5000〜10,000L、または10,000〜50,000Lであってもよい。いくつかの場合、分離器は、約1Lより大きくてもよく、または他の場合、約10Lより大きく、約50Lより大きく、約100Lより大きく、約250Lより大きく、約500Lより大きく、約1,000Lより大きく、または約10,000Lより大きくてもよい。容積が50,000Lより大きな分離器も可能である。分離器は、円筒形、球形であってもよく、または任意の他の適切な形状であってもよく、循環式であっても非循環式であってもよい。いくつかの実施形態では、分離器は、プロセスで使用する1つ以上の反応器について使用するのと同様の容器または他のユニット操作を備えていてもよい。分離器内での触媒の流れは、任意の適切な幾何形状を含んでいてもよい。例えば、流路は、実質的に直線状であってもよい。いくつかの場合には、分離器は、蛇行した形、曲がりくねった形、らせん形、または任意の他の適切な形状を有するフローチャネルを備えていてもよい。分離器チャネルの平均径を基準とした、分離器の流路長(または、特定の実施形態では、分離器を通る触媒の経路長)の比率は、任意の適切な比率を含んでいてもよい。いくつかの場合には、この比率は、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、またはそれ以上であってもよい。] [0068] 望ましい反応生成物(例えば、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物)を製造するため、および/または好ましい収率を得るか、特定の要素を得るため、上に概説したパラメーターを任意の適切な組み合わせで使用してもよい。例えば、長い滞留時間の使用と、固体炭化水素系材料を処理するのに循環式流動床反応器または乱流式流動床反応器を使用することとを組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、反応器内で固体炭化水素系材料を熱分解した後、比較的高い温度(例えば、少なくとも500℃)および長い滞留時間(例えば、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約120秒、少なくとも約240秒、少なくとも約300秒、少なくとも約600秒、または少なくとも約1200秒など)を分離器内で用いてもよい。他の実施形態では、流動床反応器でオレフィンよりも相対的に多い量の芳香族化合物を製造するために(例えば、芳香族化合物が少なくとも約6%以上)、比較的小さい質量正規化空間速度(例えば、約0.1時間−1未満、約0.05時間−1未満、約0.01時間−1未満など)を用いてもよい。流動床反応器で芳香族化合物よりも相対的に多い量のオレフィンを製造するために(例えば、オレフィンが少なくとも約3重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%)、比較的大きな質量正規化空間速度(例えば、少なくとも約0.1時間−1、少なくとも約0.5時間−1)を用いてもよい。別の一連の実施形態では、固体炭化水素系材料と、シリカ対アルミナのモル比が大きく(例えば、少なくとも約30)シリカを多く含むゼオライト触媒とを、反応器内で高速で(例えば、約500℃/秒よりも大きい速度で)加熱してもよい。いくつかの場合には、触媒および固体炭化水素系材料を少なくとも約0.5:1の質量比で反応器に供給し、例えば、500℃〜1000℃の温度で加熱してもよい。いくつかの場合、触媒および固体炭化水素系材料を、この混合物が比較的長い滞留時間(例えば、少なくとも約5秒)を有するように、少なくとも約0.5:1の質量比で反応器に供給してもよい。さらに別の一連の実施形態では、流動化流体の滞留時間が比較的大きいこと(例えば、少なくとも約5秒)と、反応器の温度が比較的高いこと(例えば、約500℃〜約1000℃)とを用いてもよい。] [0069] 上述のように、分離器は、すべての実施形態で必要というわけではない。例えば、触媒を固定した床を備える反応器を使用する状況では、触媒を反応器内に保持してもよく、反応生成物が、実質的に触媒を含まない状態で反応器から出てもよく、したがって、別個の分離工程の必要性はない場合がある。] [0070] 図1に示した一連の実施形態では、分離した触媒が、流れ34を経て分離器を出てもよい。いくつかの場合には、分離器を出て行く触媒が、少なくとも部分的に不活性化していてもよい。いくつかの実施形態では、分離した触媒を、再生器36に供給してもよく、再生器36内で、少なくとも部分的に不活性化した任意の触媒が、再び活性化されてもよい。いくつかの実施形態では、再生器は、任意のパージ流37を備えていてもよく、これを使用し、コークス、および/または触媒を再生器から取り除いてもよい。触媒を活性化する方法は、例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(オンライン)、第5巻、Hoboken,N.J.:Wiley−Interscience、c2001−、255−322頁(参照により本明細書に援用される)に記載されているように、当業者に十分に知られている。] 図1 [0071] ある一連の実施形態では、例えば、図1に示すように、流れ38を経て、再生器に酸化剤を供給する。酸化剤は、例えば、特に、酸素タンク、大気中の空気、スチームを含む任意の供給源に由来するものであってよい。再生器内で、触媒を酸化剤と反応させることによって、触媒が再び活性化する。いくつかの場合には、不活性化した触媒は、残留炭素および/またはコークスを含んでいる場合があり、再生器内で酸化剤を用いて反応させることによってこれらを除去してもよい。図1の再生器は、再生した反応生成物、残留酸化剤などを含み得る排気流40を備えている。] 図1 [0072] 再生器は、反応器または分離器に関連して、上述の任意の適切な大きさを有していてもよい。それに加えて、いくつかの場合には、再生器を、高温(例えば、少なくとも約300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、またはそれ以上)で操作してもよい。さらに、上に概略した方法を含む当業者に知られている方法を用い、再生器内に存在する触媒の滞留時間もまた制御してもよい。いくつかの場合、システム内の物質収支を保つために、再生器を流れる触媒の質量流量を、反応器および/または分離器内での流速と組み合わせてもよい。] [0073] 図1の例示的な実施形態で示されるように、再生した触媒が、流れ42を経て再生器を出てもよい。再生した触媒を、再循環流47を経て反応器に再び循環させてもよい。いくつかの場合には、操作中に、システムから触媒を取り出してもよい。このようないくつかの場合および他の場合では、さらなる「補給」触媒を、補給流46を経てシステムに加えてもよい。図1に例示的に示されるように、再生した触媒および補給触媒を、再循環流47を経て、流動化流体とともに反応器に供給してもよいが、他の実施形態では、触媒および流動化流体を、別個の流れを経て反応器に供給してもよい。] 図1 [0074] 図1の分離器32を参照し、反応生成物(例えば、炭化水素流体生成物)は、流れ48を経て分離器を出る。いくつかの場合には、流れ48の一部分を、パージ流60を経て取り除いてもよい。パージ流の内容物を、例えば、システムから他の方法で出るエネルギーを再び利用するために、燃焼器または水性ガスシフト反応器に供給してもよい。いくつかの場合には、流れ48中の反応生成物を、任意の凝縮器50に供給してもよい。凝縮器は、反応生成物の少なくとも一部分を、気体状態から液体状態に凝縮させる熱交換器を備えていてもよい。反応生成物を気体フラクション、液体フラクション、固体フラクションに分離するために、凝縮器を用いてもよい。凝縮器の操作は、当業者に十分に知られている。凝縮器の例は、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、第11節:「Heat Transfer Equipment.」 第8版、New York:McGraw−Hill、c2008により詳細に記載されており、参照により本明細書に援用される。] 図1 [0075] いくつかの実施形態では、凝縮器はまた、圧力変化を利用し、生成物流の一部を凝縮してもよい。図1において、流れ54は、反応生成物の液体フラクション(例えば、水、芳香族化合物、オレフィン化合物など)を含んでいてもよく、流れ74は、反応生成物の気体フラクション(例えば、CO、CO2、H2など)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、気体フラクションを、蒸気回収システム70に供給してもよい。例えば、流れ74内の任意の望ましい蒸気を回収し、流れ72を経て輸送するために、蒸気回収システムを使用してもよい。それに加えて、CO、CO2、および/または蒸気回収システムから得た、他の回収可能ではない気体を輸送するために、流れ76を用いてもよい。いくつかの実施形態では、任意の蒸気回収システムを他の位置に配置してもよいことをことを注記すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、蒸気回収システムは、パージ流54の下流に配置されてもよい。当業者は、蒸気回収システムに適した位置を選択することができる。] 図1 [0076] 他の生成物(例えば、過剰な気体)を、流れ56を経て、任意のコンプレッサ26に輸送してもよく、コンプレッサ26で、この生成物を圧縮し、反応器内の流動化気体(流れ22)として使用してもよく、および/または、炭化水素系材料を反応器に輸送するのを助けてもよい(流れ58)。いくつかの場合、例えば、有機相から水相を分離し、個々の化合物を分離するなどのために、液体フラクションをさらに処理してもよい。] [0077] 図1に記載の一連の実施形態は、反応器、分離器、再生器、凝縮器などを備えているが、すべての実施形態が、これらの構成要素の使用を含んでいるわけではないことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、供給流を、触媒を固定した床を備える反応器に供給し、反応させてもよく、反応生成物を、反応器から直接集め、専用の凝縮器を使用せずに冷却してもよい。いくつかの場合、乾燥器、粉砕システム、分離器、再生器、凝縮器、および/またはコンプレッサをこのプロセスの一部として使用してもよいが、これらの要素の1つ以上が、反応器と流体的に接続しておらず、および/または一体的に接続していない別個のユニットを備えていてもよい。他の実施形態では、乾燥器、粉砕システム、分離器、再生器、凝縮器、および/またはコンプレッサのうち、1つ以上が存在していなくてもよい。いくつかの実施形態では、望ましい反応生成物(例えば、液体芳香族炭化水素、オレフィン炭化水素、気体状生成物など)を製造プロセスの任意の点で回収してもよい(例えば、反応器を通過した経路の後、分離の後、凝縮の後など)。] 図1 [0078] いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、2個以上の反応器の使用を含んでいてもよい。図7の例示的な実施形態に示したように、例えば、連続的に操作するため、および/または、並行して操作するために、例えば、複数の反応器を流体が流れるように互いに接続してもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、第1反応器内に炭化水素系材料を用意する工程と、第1反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、触媒が、第1反応器内に用意されてもよく、第1反応器中で、1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる。このプロセスは、第2反応器中で、1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程をさらに含んでいてもよい。いくつかの場合には、このプロセスは、第2反応器中で、1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を触媒反応させた後、第2反応器内で、第1反応器からの1つ以上の炭化水素流体生成物の少なくとも一部分を反応させ、1つ以上の他の炭化水素生成物を製造する工程をさらに含んでいてもよい。] 図7 [0079] 図7において、反応器20から得られた反応生成物を、第2反応器20’に輸送する。当業者は、有機物質を熱分解して有機生成物を製造するために、複数反応器を有するシステムを使用することについてよく知っており、このようなシステムは当該技術分野で知られている。図7は、反応器が互いに流体連通するように連結される一連の実施形態を示しているが、いくつかの場合、この2個の反応器は、流体が流れるようにつながっていなくてもよい。例えば、第1反応器を、第1の反応生成物を製造するのに使用し、この生成物を、第2反応器内で反応させるために別個の設備に輸送してもよい。いくつかの場合、炭化水素系材料を含む組成物(触媒を含んでいても、含んでいなくてもよい)を、第1反応器で加熱してもよく、炭化水素系材料の少なくとも一部分を熱分解し、熱分解生成物(および、場合により、少なくとも部分的に不活性化された触媒)を製造してもよい。第1の熱分解生成物は、液体および/または気体の形態であってもよい。次いで、第1の熱分解生成物を含む組成物を第2反応器内で加熱し、第2反応器は、第1反応器と流体が流れるようにつながっていてもよく、つながっていなくてもよい。第2反応器内での加熱工程の後、第2反応器から得られた第2の熱分解生成物を集めてもよい。第2の熱分解生成物は、液体および/または気体の形態であってもよい。いくつかの場合には、炭化水素系材料を含み、第1反応器に供給される組成物は、例えば、固体炭化水素系材料と固体触媒との混合物を含んでいてもよい。第1反応器で製造された第1の熱分解生成物は、第2の熱分解生成物とは、化学組成、量、状態が異なっていてもよい(例えば、流体 対 気体)。例えば、第1の熱分解生成物は、実質的に液体を含んでいてもよく、一方、第2の熱分解生成物が、実質的に気体を含んでいてもよい。別の例では、第1の熱分解生成物は、流体生成物(例えば、バイオオイル、糖)を含み、第2の熱分解生成物は、第1の熱分解生成物よりも相対的に多い量の芳香族化合物を含む。いくつかの場合には、第1の熱分解生成物は、流体生成物(例えば、芳香族化合物を含む)を含み、第2の熱分解生成物は、第1の熱分解生成物よりも相対的に多い量のオレフィンを含む。さらに別の例では、第1の熱分解生成物は、流体生成物(例えば、バイオオイル、糖)を含み、第2の熱分解生成物は、第1の熱分解生成物よりも、比較的多い量の含酸素芳香族化合物を含む。] 図7 [0080] 複数の反応器の構造のうち、1つ以上の反応器が、流動床反応器(例えば、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器など)を備えていてもよく、または、他の場合、任意の他の種類の反応器(例えば、上述のいずれかの反応器)を備えていてもよい。例えば、ある一連の実施形態では、第1反応器は、循環式流動床反応器または乱流式流動床反応器を備えており、第2反応器は、第1反応器と流体連通するように連結される、循環式流動床反応器または乱流式流動床反応器を備えている。それに加えて、複数の反応器の構造は、本明細書に述べた任意のさらなる処理工程および/または機器を備えていてもよい(例えば、分離器、再生器、凝縮器など)。反応器および/またはさらなる処理機器を、本明細書に記載した任意の処理パラメーター(例えば、温度、滞留時間など)を用いて操作してもよい。] [0081] 本発明の内容において有用な炭化水素系材料は、例えば、キシリトール、グルコース(例えば、α−D−グルコース、β−D−グルコース)、セロビオース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、サトウキビバガス、グルコース、木材、トウモロコシの茎葉のような要素を、これらの熱分解物およびこのような要素の組み合わせ、および/またはこれらの熱分解生成物とともに含んでいてもよい。炭化水素系材料の他の例としては、例えば、特に、プラスチック廃棄物、再生プラスチック、農業廃棄物および都市固形廃棄物、食品廃棄物、動物の排泄物、炭水化物、リグノセルロース系材料(例えば、木材チップまたは削りくず、リグノセルロース系バイオマスなど)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。図8Aおよび図8Bは、サトウキビバガス、グルコース、木材、トウモロコシの茎葉を含む種々の炭化水素系供給物の生成物分布をプロットしたものを含む。図8Aに示した実施形態では、試験したすべての供給原料は、芳香族化合物を比較的高い収率で製造した(例えば、20%より大きい炭素収率(約8%よりも大きな重量収率に相当))。この一連の実施形態で、グルコース供給物を用いると、40%よりも大きい炭素収率(約18.5%よりも大きな重量収率に相当する)が得られた。図8Bは、種々の炭化水素系原材料について芳香族選択率をプロットしたものを含む。図8Bに含まれる芳香族種は、ベンゼン、トルエン、エチル−ベンゼンおよびキシレン、メチル−エチル−ベンゼンおよびトリメチル−ベンゼン、インダン、ナフタレンである。] 図8A 図8B [0082] 本明細書で示したように、炭化水素系材料および触媒材料の選択を利用することによって、得られる炭化水素流体生成物の組成を変えることができる。例えば、ナフタレンを製造するために、広範囲の炭化水素系材料(例えば、限定されないが、グルコース、セルロース、セロビオース、キシリトールなど)を用いることができる。別の例では、トルエンを選択的に製造するために、特定の炭化水素系材料(例えば、セルロース)を用いることができる。あるいは、限定されないが、炭化水素系材料がグルコースを含む場合、供給組成物のグルコースを基準とした触媒の質量比の調節を利用することによって、特定可能な含酸素化合物(例えば、含酸素芳香族化合物)の製造量を変えることができる。供給組成物のグルコースを基準とした触媒の質量比は、反応器に供給されるグルコース量に対し、反応器に供給される触媒量を増やすか、または減らすことによって調節してもよい。いくつかのこのような化合物および他の化合物は、さらなる反応のために特殊化学品として単離されてもよく、またはその後のバイオ燃料処理に組み込まれてもよい。特定の他の実施形態では、炭化水素系材料は、例えば、ベンジルフェニルエーテルのようなリグニン熱分解生成物を含んでいてもよい。この化合物および他の化合物の熱分解を利用し、燃料添加物または汎用化学品として使用する様々な芳香族化合物を製造することができる。開始時の炭化水素系材料または得られた熱分解生成物にかかわらず、本明細書に記載したプロセスは、場合により、バイオ燃料として使用可能であるか、またはバイオ燃料製造に組み込むことが可能な水素化生成物を製造するために、種々の不飽和化合物または芳香族化合物の水素化を含んでいてもよい。] [0083] 上述のように、供給組成物中の炭化水素系材料は、固体、液体および/または気体を含んでいてもよい。炭化水素系材料が固体を含む場合、この固体は、任意の適切な大きさであってもよい。いくつかの場合には、比較的小さな粒径を有する炭化水素系固体を用いることが有利な場合がある。小さな粒子の固体は、いくつかの場合、大きな固体と比較して、表面積対容積比が比較的大きくなるため、大きな固体よりも迅速に反応する場合がある。それに加えて、粒径が小さいことによって、それぞれの粒子内および/または反応器の容積内に効率よく熱を移動させることができる。これにより、望ましくない反応生成物の生成を防ぐことができるか、または減らすことができる。さらに、粒径が小さいことによって、固体−気体の接触および固体−固体の接触が増え、熱移動および物質移動が高まる場合がある。いくつかの実施形態では、固体炭化水素系材料の平均径は、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約60メッシュ(250ミクロン)未満、約100メッシュ(149ミクロン)未満、約140メッシュ(105ミクロン)未満、約170メッシュ(88ミクロン)未満、約200メッシュ(74ミクロン)未満、約270メッシュ(53ミクロン)未満、または約400メッシュ(37ミクロン)未満、またはこれより小さい値である。] [0084] いくつかの場合には、平均粒径が、炭化水素系供給材料を反応器に通すのに必要な圧力を下げるための最小値よりも上の供給材料を用いることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの場合には、少なくとも約400メッシュ(37ミクロン)、少なくとも約270メッシュ(53ミクロン)、少なくとも約200メッシュ(74ミクロン)、少なくとも約170メッシュ(88ミクロン)、少なくとも約140メッシュ(105ミクロン)、少なくとも約100メッシュ(149ミクロン)、少なくとも約60メッシュ(250ミクロン)、少なくとも約500ミクロン、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、少なくとも約5mm、またはこれよりも大きな平均粒径の固体炭化水素系材料を用いることが望ましい場合がある。] [0085] 本発明の内容で有用な触媒成分は、当該技術分野で知られている任意の触媒から選択してもよく、または本発明を認識している当業者が理解しているように、選択してもよい。機能的に、触媒は、任意のこのような物質が、脱水、脱水素、異性化、水素移動、芳香族化、脱カルボニル化、脱炭酸、アルドール縮合、および/または炭化水素系材料の熱分解に関連しているか、または関係している他の反応またはプロセスを促進および/または行う能力によってのみ限定される。触媒成分は、当業者が理解しているように、酸性、中性または塩基性であると考えられる。あるいは、このような事項または他の事項を考慮するか、または考慮せずに、触媒は、孔径(例えば、メソポーラス、および典型的にゼオライトに関連する孔径)、例えば、平均孔径が、約100オングストローム未満、約50オングストローム未満、約20オングストローム未満、約10オングストローム未満、約5オングストローム未満、またはそれより小さい値にしたがって選択することができる。いくつかの実施形態では、平均孔径が約5オングストローム〜約100オングストロームの触媒を使用してもよい。いくつかの実施形態では、平均孔径が約5.5オングストローム〜約6.5オングストロームの触媒、または平均孔径が約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの触媒を使用してもよい。いくつかの場合には、平均孔径が約7オングストローム〜約8オングストロームの触媒、または平均孔径が約7.2オングストローム〜約7.8オングストロームの触媒を使用してもよい。] [0086] 本明細書で使用する場合、用語「孔径」は、孔の最小断面直径を指すために用いられる。孔の最小断面直径は、孔の長さに対して垂直に測定した場合、最も小さな断面寸法(例えば、断面直径)に対応していてもよい。いくつかの実施形態では、「平均孔径」または「孔径分布」がXの触媒は、触媒の中にある孔の最小断面直径の平均が、約Xである触媒を指す。孔の「孔径」または「最小断面直径」は、本明細書で使用する場合、当業者によく知られている、Norman半径に調節された孔径(Norman radii adjusted pore size)を指すことを理解すべきである。Norman半径に調節された孔径の決定は、例えば、Cook,M.;Conner,W.C.、「How big are the pores of zeolites?」 第12回the International zeolite Conference、の議事録、Baltimore、1998年7月5日〜10日;(1999)、1、409−414頁に記載されており、この内容全体が、参照により本明細書に援用される。例示的なNorman半径に調節された孔径のリストは、例えば、図17に示されている。特定の例示的な計算として、ZSM−5孔の原子半径は、x線回折で測定した場合、約5.5〜5.6オングストロームである。触媒中の酸素原子間にある反発の影響を調節するために、CookおよびConnerは、Norman調節された半径は、原子半径よりも0.7オングストローム大きい(約6.2〜6.3オングストローム)ことを示している。] 図17 [0087] 当業者は、触媒の孔径(例えば、最小孔径、最小孔径の平均)をどのように決定するかを理解しているであろう。例えば、x線回折(XRD)を用い、原子座標を決定することができる。孔径を決定するためのXRD技術は、例えば、Pecharsky,V.K.ら、「Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization of Materials」、Springer Science+Business Media,Inc.、New York、2005に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。孔径(例えば、ゼオライト孔径)を決定するのに有用であり得る他の技術としては、例えば、ヘリウム比重計または低圧アルゴン吸着技術が上げられる。これらの技術および他の技術は、Magee,J.S.ら、「Fluid Catalytic Cracking: Science and Technology」、Elsevier Publishing Company、1993年7月1日、185−195頁に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。メソポーラス触媒の孔径は、例えば、Gregg,S.J.ら、「Adsorption,Surface Area and Porosity」、第2版、Academic Press Inc.,New York、1982、およびRouquerol,F.ら、「Adsorption by powders and porous materials.Principles,Methodology and Applications」、Academic Press Inc.、New York、1998(両方とも、その内容全体を参照により本明細書に援用される)に記載されているような窒素吸着技術を用いて決定してもよい。他に示されない限り、本明細書で称される孔径は、x線回折によって決定した値を、そのNorman半径に調節された孔径を反映するように上述のように補正した値である。] [0088] いくつかの実施形態では、特定の熱分解生成物分子を変換するのに適切な孔径を有する触媒を選択するのに、スクリーニング方法を使用する。スクリーニング方法は、触媒反応させるのに望ましい熱分解生成物分子の大きさ(例えば、熱分解生成物分子の分子動的直径(molecular kinetic diameter))を決定する工程を含んでいてもよい。当業者は、例えば、所与の分子の動的直径を算出することができる。次いで、触媒の孔(例えば、Norman調節された最小半径)が、熱分解生成物分子を触媒に拡散し、および/または触媒と反応させるのに十分大きいように、触媒の種類を選択してもよい。いくつかの実施形態では、触媒の孔径が、反応することが望ましくない熱分解生成物が入りこむ、および/または反応するのを防ぐのに十分小さいように触媒が選択される。] [0089] 限定されないが、いくつかのこのような触媒および他の触媒は、天然に存在するゼオライト、合成ゼオライト、およびこれらの組み合わせから選択されてもよい。特定の実施形態では、触媒は、当業者が理解するように、ZSM−5ゼオライト触媒であってもよい。場合により、このような触媒は、酸性部位を含んでいてもよい。他の種類のゼオライト触媒としては、特に、フェリエライト、ゼオライトY、ゼオライトβ、モルデナイト(modernite)、MCM−22、ZSM−23、ZSM−57、SUZ−4、EU−1、ZSM−11、(S)AlPO−31、SSZ−23が挙げられる。他の実施形態では、非ゼオライト触媒を用いてもよい。例えば、WOx/ZrO2、リン酸アルミニウムなど。いくつかの実施形態では、触媒は、金属および/または金属酸化物を含んでいてもよい。適切な金属および/または酸化物としては、例えば、特に、ニッケル、白金、バナジウム、パラジウム、マンガン、コバルト、亜鉛、銅、クロム、ガリウム、および/またはこれらのいずれかの酸化物が挙げられる。それに加えて、いくつかの場合には、所望の生成物を選択的に製造するように、触媒の性質(例えば、孔構造、酸性部位の種類および/または数など)を選択してもよい。] [0090] いくつかの実施形態では、孔径について二峰性の分布を確立している1つ以上の触媒を利用することが望ましい場合がある。いくつかの場合には、孔径について二峰性の分布を有する1種類の触媒を使用してもよい(例えば、主に、5.9〜6.3オングストロームの孔と、7〜8オングストロームの孔とを含有する1種類の触媒)。他の場合には、二峰性の分布を確立するために、2つ以上の触媒の混合物を利用してもよい(例えば、2つの触媒の混合物、それぞれの種類の触媒は、別個の範囲の平均孔径を有する)。いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒のうち1つが、ゼオライト触媒を含み、1つ以上の触媒のもう1つのものが、非ゼオライト触媒(例えば、メソポーラス触媒、金属酸化物触媒など)を含む。] [0091] 例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒(例えば、ゼオライト触媒、メソポーラス触媒など)の孔の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、第1径分布内または第2径分布内にある最小断面直径を有する。いくつかの場合には、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、第1径分布内にある最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、第2径分布内にある最小断面直径を有する。いくつかの場合には、第1径分布および第2径分布は、上述の範囲から選択される。特定の実施形態では、第1径分布および第2径分布は、互いに異なっており、重複していない。重複していない範囲の例は、5.9〜6.3オングストロームと6.9〜8.0オングストロームであり、重複している範囲の例は、5.9〜6.3オングストロームと6.1〜6.5オングストロームである。第1径分布および第2径分布は、互いにすぐに隣接しないように選択されてもよく、例は、5.9〜6.3オングストロームの孔径と、6.9〜8.0オングストロームの孔径である。互いにすぐに隣接している範囲の例は、5.9〜6.3オングストロームの孔径と、6.3〜6.7オングストロームの孔径である。] [0092] 特定の例として、いくつかの実施形態では、芳香族化合物とオレフィン化合物とを同時に製造するために、二峰性の孔径分布を与えるような1つ以上の触媒を使用する。すなわち、ある孔径分布は、芳香族化合物を相対的に多い量で製造するのに有利であり、他の孔径分布は、オレフィン化合物を相対的に多い量で製造するのに有利であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径、または約7オングストローム〜約8オングストロームの最小断面直径を有する。それに加えて、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、約7オングストローム〜約8オングストロームの最小断面直径を有する。] [0093] いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径、または約7オングストローム〜約200オングストロームの最小断面直径を有する。それに加えて、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの最小断面直径を有し;1つ以上の触媒の孔の少なくとも約2%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%が、約7オングストローム〜約200オングストロームの最小断面直径を有する。] [0094] いくつかの実施形態では、1つ以上の触媒の孔の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、第1分布内および第2分布内にある最小断面直径を有し、第1分布が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームであり、第2分布が、第1分布とは異なっており、重複していない。いくつかの実施形態では、第2孔径分布は、約7オングストローム〜約200オングストローム、約7オングストローム〜約100オングストローム、約7オングストローム〜約50オングストローム、または約100オングストローム〜約200オングストロームであってもよい。いくつかの実施形態では、第2触媒は、メソポーラスであってもよい(例えば、約2nm〜約50nmの孔径分布を有する)。] [0095] いくつかの実施形態では、孔径の二峰性の分布は、2つ以上の炭化水素系供給材料成分を反応させるのに有益である場合がある。例えば、いくつかの実施形態は、反応器内に、第1成分および第2成分を含む固体炭化水素系材料を用意する工程を含み、第1成分と上述の第2成分とは、異なっている。第1成分または第2成分として使用可能な化合物の例としては、本明細書に記載したいずれかの炭化水素系材料が挙げられる(例えば、サトウキビバガス、グルコース、木材、トウモロコシの茎葉、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、または任意の他のもの)。例えば、第1成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンのうち1つを含んでいてもよく、第2成分が、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンのうち1つを含む。この方法は、反応器内に第1触媒および第2触媒を用意する工程をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1触媒は、第1孔径分布を有していてもよく、第2触媒は、第2孔径分布を有していてもよく、第1孔径分布と第2孔径分布とは、異なっており、重複していない。第1孔径分布は、例えば、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームであってもよい。第2孔径分布は、例えば、約7オングストローム〜約200オングストローム、約7オングストローム〜約100オングストローム、約7オングストローム〜約50オングストローム、または約100オングストローム〜約200オングストロームであってもよい。いくつかの場合には、第2触媒は、メソポーラスであってもよく、孔が存在していなくてもよい。] [0096] 第1触媒は、第1成分またはその誘導体を触媒反応させ、炭化水素流体生成物を製造するのに選択的であってもよい。それに加えて、第2触媒は、第2成分またはその誘導体を触媒反応させ、炭化水素流体生成物を製造するのに選択的であってもよい。この方法は、反応器内で、炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と、熱分解生成物の少なくとも一部分を、第1触媒および第2触媒を用いて触媒反応させ、1つ以上の炭化水素生成物を製造する工程とをさらに含んでもよい。また、いくつかの場合、少なくとも部分的に不活性化された触媒を製造してもよい。] [0097] 特定の実施形態では、本明細書に記載の実施形態と組み合わせて使用する方法は、組成物の、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比を大きくし、特定可能な芳香族化合物の製造量を増やす工程を含む。特定の従来の触媒熱分解方法を超える特徴以外を表しながら、本明細書で示されているように、本明細書に記載の物品および方法を用い、限定されないが、ベンゼン、トルエン、プロピルベンゼン、エチルベンゼン、メチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン、インダン、ナフタレン、メチルナフタレン(methylnaphthelene)、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、ヒドリンデン、メチルヒドリンデン、ジメチルヒドリンデン、およびこれらの組み合わせから選択される別個の特定可能な芳香族化合物、バイオ燃料化合物を製造することができる。] [0098] いくつかの実施形態では、触媒の反応化学は、1つ以上のさらなる化合物を加えることによって影響を受ける場合がある。例えば、触媒に金属を加えると、特定の化合物が選択的に生成する方向へ反応がシフトすることがある(例えば、アルミナ−シリケート触媒に金属を加えると、COの製造量が増える場合がある)。それに加えて、流動化流体が水素を含む場合、触媒上に形成するコークスの量が減る場合がある。] [0099] 本明細書に記載の実施形態で使用する触媒(例えば、供給流中、反応器中などで)は、任意の適切な大きさであってもよい。いくつかの場合には、比較的小さな触媒粒子を用いることが有利な場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、小さな触媒粒子を用いると、例えば、触媒外側の表面積が増し、触媒への拡散距離が減るため、炭化水素系材料が、触媒の表面部位に接触する度合いが増す場合がある。いくつかの場合には、触媒の大きさを、少なくとも部分的に、例えば、望ましい流体流の種類および触媒の寿命に依存して、選択してもよい。いくつかの実施形態では、触媒の平均径は、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約60メッシュ(250ミクロン)未満、約100メッシュ(149ミクロン)未満、約140メッシュ(105ミクロン)未満、約170メッシュ(88ミクロン)未満、約200メッシュ(74ミクロン)未満、約270メッシュ(53ミクロン)未満、または約400メッシュ(37ミクロン)未満、またはこれより小さい値であってもよい。] [0100] いくつかの実施形態では、触媒は、シリカおよびアルミナを両方とも含んでいてもよい(例えば、ゼオライト触媒)。触媒中のシリカおよびアルミナは、任意の適切なモル比で存在してもよい。いくつかの実施形態では、アルミナのモル数に対し、シリカのモル数が大きい(すなわち、シリカ対アルミナのモル比が大きい)触媒を利用することが有利な場合がある。本願発明者らは、大きなシリカ対アルミナのモル比を、例えば、本明細書に記載の実施形態と組み合わせると、芳香族生成物が比較的多量に形成する場合があることを予想外に発見した。例えば、いくつかの場合には、供給組成物は、少なくとも約30:1、少なくとも約40:1、少なくとも約50:1、少なくとも約75:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、またはこれより大きい値のシリカ対アルミナのモル比を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シリカ対アルミナのモル比が、約30:1〜約200:1、約30:1〜約150:1、約50:1〜約160:1、または約100:1〜約150:1の触媒を利用することが有利な場合がある。] [0101] いくつかの実施形態では、触媒および炭化水素系材料は、任意の適切な比率で存在していてもよい。例えば、供給組成物(例えば、触媒および炭化水素系材料を含む1つ以上の供給流を通るもの、または別個の触媒供給流および炭化水素系材料の供給流を通るもの)が触媒および炭化水素系材料を含む場合(例えば、循環式流動床反応器)、触媒および炭化水素系材料は、任意の適切な質量比で存在してもよい。別の例として、反応器に、最初に、触媒および炭化水素系材料の混合物を入れる場合(例えば、バッチ式反応器)、触媒および炭化水素系材料は、任意の適切な質量比で存在してもよい。循環式流動床反応器を含む、いくつかの実施形態では、供給流(反応器に用意される固体触媒および固体炭化水素系材料を含む組成物)中の炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比は、少なくとも約0.5:1、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、またはこれより大きい値であってもよい。循環式流動床反応器を含む、いくつかの実施形態では、供給流中の炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比は、約0.5:1未満、約1:1未満、約2:1未満、約5:1未満、約10:1未満、約15:1未満、または約20:1未満であってもよく;または、約0.5:1〜約20:1、約1:1〜約20:1、または約5:1〜約20:1であってもよい。炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比が比較的大きいものを使用すると、コークスに熱分解する前に、供給材料の熱分解から生成する揮発性有機化合物を触媒に導入しやすくなる場合がある。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、反応器内に化学量論量的に過剰な触媒が存在しているために、少なくとも部分的にこの効果が存在する場合がある。] [0102] 別の局面では、プロセス生成物を記載する。ある一連の実施形態では、生成物(例えば、熱分解生成物)は、固体炭化水素系材料の反応生成物の一部分を含む流体組成物を含む。このような生成物は、特殊化学品(例えば、燃料として直接使用されるか、または高オクタン燃料添加物として使用されるもの)として単離されてもよく、あるいは、バイオ燃料として使用するために水素化されてもよい。生成物はまた、他の有用な化合物を作製するためにさらに処理されてもよい。] [0103] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の物品および方法は、例えば、一段階または代替的に多段階の熱分解装置で、芳香族化合物を選択的に製造するように構成されている。炭化水素流体生成物は、例えば、固体炭化水素系材料の反応生成物全体のうち、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の量の芳香族化合物を含んでいてもよい。いくつかの場合には、この量の芳香族化合物は、約90以上、例えば、少なくとも92、95または98のオクタン価を有する。固体炭化水素系材料の反応生成物全体のうち、所定の重量%含まれる芳香族化合物の量は、炭化水素流体生成物中に存在する芳香族化合物の重量を、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される。本明細書で使用する場合、用語「芳香族化合物」は、1つ以上の芳香族基を含む炭化水素化合物、例えば、単環芳香環系(例えば、ベンジル、フェニルなど)、縮合した多環芳香環系(例えば、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなど)を指すために使用される。芳香族化合物の例としては、限定されないが、ベンゼン、トルエン、インダン、インデン、2−エチルトルエン(2−ehtyltoluene)、3−エチルトルエン、4−エチルトルエン、トリメチルベンゼン(例えば、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼンなど)、エチルベンゼン、メチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン(例えば、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレンなど)、ナフタレン、メチル−ナフタレン(例えば、1−メチルナフタレン、アントラセン、9.10−ジメチルアントラセン、ピレン、フェナントレン、ジメチル−ナフタレン(例えば、1,5−ジメチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナフタレンなど)、エチル−ナフタレン、ヒドリンデン、メチル−ヒドリンデン、およびジメチル−ヒドリンデン(dymethyl−hydrindene)が挙げられる。いくつかの実施形態では、単環芳香族化合物および/またはこれより多い環を有する芳香族が、製造されてもよい。芳香族化合物は、炭素数が、例えば、C5〜C14、C6〜C8、C6〜C12、C8〜C12、C10〜C14であってもよい。] [0104] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の物品および方法は、例えば、一段階または代替的に多段階の熱分解装置で、オレフィン化合物を選択的に製造するように構成されている。流体組成物(例えば、液体および/または気体の熱分解生成物)は、固体炭化水素系材料の反応生成物全体のうち、例えば、少なくとも約3重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12.5重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、またはそれより多い量のオレフィン化合物を含んでいてもよい。固体炭化水素系材料の反応生成物全体のうち、所定の重量%含まれるオレフィン化合物の量は、炭化水素流体生成物中に存在するオレフィン化合物の重量を、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される。本明細書で使用する場合、用語「オレフィン」または「オレフィン化合物」(別名「アルケン」)は、当該技術分野で通例の意味を与えられ、二重結合に結合している1つ以上の炭素原子対を含有する任意の不飽和炭化水素を指すために使用される。オレフィンは、環状オレフィンおよび非環状(脂肪族)オレフィンの両方を含み、それぞれ、二重結合が、環状(閉じた環)の基または閉じていない鎖基の一部分を形成する炭素原子の間に位置している。それに加えて、オレフィンは、適切な任意の数の二重結合を含んでいてもよい(例えば、モノオレフィン、ジオレフィン、トリオレフィンなど)。オレフィン化合物の例としては、限定されないが、特に、エテン、プロペン、ブテン、ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。オレフィン化合物は、炭素数が、例えば、C2〜C4、C2〜C8、C4〜C8、またはC2〜C12であってもよい。] [0105] いくつかの場合には、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を、例えば、一段階または代替的に多段階の熱分解装置で選択的に製造するように処理条件を選択してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物は、反応器を約600℃(または、いくつかの場合これより高い温度)で操作する場合、選択的に製造される場合がある。それに加えて、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を選択的に製造しやすくするために、特定の加熱速度(例えば、少なくとも約50℃/秒、または少なくとも約400℃/秒)、供給物を基準とした触媒の質量比が大きいこと(例えば、少なくとも約5:1)、および/または触媒中のシリカ対アルミナのモル比が大きいこと(例えば、少なくとも約30:1)を利用してもよい。いくつかのこのような処理条件および他の処理条件を、流動床反応器(例えば、循環式流動床反応器)のような特定の種類の反応器と組み合わせ、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を選択的に製造してもよい。] [0106] さらに、いくつかの実施形態では、芳香族生成物および/またはオレフィン生成物を選択的に製造しやすくするために、触媒を選択してもよい。例えば、ZSM−5は、いくつかの場合には、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を比較的多い量で優先的に製造する場合がある。いくつかの場合には、Bronstead酸性部位を含む触媒は、芳香族化合物の選択的な製造を容易にする場合がある。それに加えて、秩序だった孔構造を有する触媒は、芳香族化合物の選択的な製造を容易にする場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの平均孔径を有する触媒は、芳香族化合物を製造するのに特に有用である場合がある。それに加えて、約7オングストローム〜約8オングストロームの平均孔径を有する触媒は、オレフィンを製造するのに有用な場合がある。いくつかの実施形態では、上述の1つ以上のプロセスパラメーターの組み合わせを利用し、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物の選択的な製造を容易にしてもよい。製造される芳香族とオレフィンとの比率は、例えば、約0.1:1〜約10:1、約0.2:1〜約5:1、約0.5:1〜約2:1、約0.1:1〜約0.5:1、約0.5:1〜約1:1、約1:1〜約5:1、または約5:1〜10:1であってもよい。] [0107] いくつかの実施形態では、望ましい生成物を製造し、および/または好ましい収率を得るために、供給物中の炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比を調節する。いくつかの実施形態では、含酸素化合物、例えば、特に、酢酸、ギ酸、ヒドロキシアセチルアルデヒド、フルフラール、2−メチルフラン、フラン、4−メチルフルフラール、フラン−2−メタノールおよびレボグルコサンを製造してもよい。例えば、いくつかの場合には、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比を大きくすることによって、非環状カルボニル含酸素化合物の製造量が増える場合がある。特定の例としては、供給物中の、供給物(例えば、グルコース)を基準とした触媒の質量比を大きくするが、質量比を約9未満に維持すると、非環状カルボニル含酸素生成物(例えば、ヒドロキシアセトアルデヒド、酢酸など)の相対量が増える場合がある。いくつかの場合には、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比を小さくすると、環状含酸素化合物の製造量が増える場合がある。例えば、いくつかの場合には、供給物中の、供給物(例えば、グルコース)を基準とした触媒の質量比を減らす(例えば、約19〜約1)につれて、生成物であるフラン、フルフラール、メチル−フラン、および/または4−メチルフルフラールの相対量が増える。なおさらなる実施形態では、供給物中の、供給物(例えば、グルコース)を基準とした触媒の質量比を減らす(例えば、約19〜約2.3)につれて、生成物であるフラン−2−メタノールの量が増える場合があり;供給物中の、供給物(例えば、グルコース)を基準とした触媒の質量比をさらに減らす(例えば、約2.3〜1.5)につれて、生成物であるフラン−2−メタノールの量が減る場合がある。このように、炭化水素系材料を基準とした触媒の質量比は、例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約0.5:1、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、またはこれより大きく;または、他の実施形態では、約0.5:1未満、約1:1未満、約2:1未満、約5:1未満、約10:1未満、約15:1未満、または約20:1未満であってもよい。] [0108] いくつかの実施形態では、プロセス生成物はまた、炭化水素系バイオマス材料の熱分解生成物を含む高オクタンバイオ燃料組成物を含んでいてもよい。一段階熱分解装置または代替的に多段階熱分解装置を用い、熱分解生成物を作製してもよい。いくつかの場合には、熱分解反応中、炭化水素系材料を触媒(例えば、ゼオライト触媒)と混合してもよい。この組成物は、例えば、別個の特定可能な芳香族化合物を含んでいてもよく、この化合物の1つ、2つ以上、またはそれぞれの化合物は、オクタン価が約90以上、例えば、少なくとも92、95または98であることによって特徴づけられる。従来技術のある種の粘性タールおよびスラッジとは区別可能であるように、このようなバイオ燃料組成物は、石油に由来するガソリン、ディーゼル燃料および/または加熱燃料に可溶性であることによって特徴づけることもできる。このような化合物としては、限定されないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン、インダン、ナフタレン、メチルナフタレン(methylnaphthelene)、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、ヒドリンデン、メチルヒドリンデンおよびジメチルヒドリンデン、およびこれらの組み合わせが挙げられ、これらの属性および/または相対量は、バイオマス組成物、触媒の種類、および/または本明細書に記載した任意のプロセスパラメーターの選択によって変動する場合がある。] [0109] いくつかの実施形態では、プロセス生成物は、既存のガソリンおよびディーゼルの燃料ラインに適合する非酸性バイオ燃料を含んでいてもよい。] [0110] さらに、本明細書に記載したプロセスによって、特定の既存の方法よりもコークス生成量が減る場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、熱分解生成物の約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、または約10重量%未満のコークスである熱分解生成物が得られる場合がある。形成するコークスの量は、このシステムで形成したコークスの重量を、熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割ったものとして測定される。] [0111] 以下の限定されない実施例およびデータは、本明細書に記載した熱分解の方法論によって入手可能な種々の芳香族化合物および/または含酸素化合物(例えば、含酸素炭化水素)の選択的な製造を含む本発明の方法および/または組成物に関連する種々の局面および特徴を示すことを意図しているが、本発明の範囲全体を例示するものではない。従来技術と比較して、本発明の方法および組成物によって、驚くべき、予想不可能な、従来技術とは反対の結果およびデータが得られる。本発明の有用性を、いくつかの触媒材料および炭化水素源を使用して説明するが、本発明の範囲にふさわしい種々の他の触媒材料および/または炭化水素源を用いて、匹敵する結果を得ることが可能なことを、当業者は理解すべきである。] [0112] (実施例1) いくつかの実施形態の代表例である、以下の実施例1〜9に記載した触媒熱分解実験を、粉末状の触媒および供給物(大きさ140メッシュ未満)を用い、熱分解プローブ2000バッチ式熱分解反応器(CDS Analytical Inc.)を用いて行った。本実施例で他の意味であると特定されていない限り、この実験の反応条件は、以下のとおりであった。供給物を基準とした触媒の重量比、19;触媒、ZSM−5(SiO2/A12O3=30);見かけ加熱速度、1000℃秒−1;反応温度、600℃;反応時間(供給物の滞留時間)、240秒。図2A〜2Bは、それぞれ、キシリトール、グルコース、セロビオース、セルロースをHZSM−5(すなわち、プロトン化ZSM5)を用いて触媒熱分解した場合の炭素収率および芳香族化合物の選択率を示す。芳香族化合物の収率は、炭素収率として算出した。炭素収率は、生成物中の炭素のモル数を、供給物中の炭素のモル数で割ることによって算出した。選択率は、所与の生成物中の炭素のモル数を、すべての生成物(CO、CO2、コークス(例えば、触媒上に残存する固体コークス)を除く)中の炭素のモル数で割ったものとして算出した。図2Aからわかるように、主要な生成物は、芳香族化合物、CO、CO2、コークスを含んでいた。キシリトールは、他の供給物よりも芳香族化合物の収率が高かった。キシリトールはまた、他の供給物よりも、H/Ceffモル比が高かった(2/5)(セルロース、グルコース、セロビオースでは0)。芳香族化合物が望ましい場合、一酸化炭素および二酸化炭素は、通常は、生成物として存在していた。これらの反応の芳香族化合物の収率は、式1および式2で与えられた理論収率の約半分であった。コークスの収率は、試験した全触媒で約30%であり、産業用反応器で燃焼させ、触媒熱分解のためのプロセス熱を得た。] 図2A [0113] 当業者は、重量パーセントと炭素収率とを変換可能であることを注記すべきである。炭素系材料供給物中の炭素量を、例えば、化学分析によって決定してもよい。それに加えて、それぞれの反応生成物の炭素の割合を、それぞれの分子式を用いて算出してもよい。例えば、ベンゼン(C6H6)1モルは、炭素約72gと水素約6gとを含有し、炭素の重量%は、約92.3%となる。同様に、メチル−ベンゼンは、炭素を約91.5重量%含有し、エチル−ベンゼンおよびキシレンは、炭素を約90.5重量%含有する、など。特定の生成物流の炭素の質量を、供給物中の炭素の質量で割ることによって、重量%から炭素の割合を決定してもよい。] [0114] ある特定の実施例では、木材供給物からトルエンを製造してもよい。化学分析を用い、システムに供給される木材が、炭素が質量で44%であることを決定してもよい(すなわち、供給物中に44%の炭素)。製造されたトルエンは、炭素が質量で91.25%である(すなわち、生成物中に91.25%の炭素)。炭素収率(C%)が5%の場合、重量%は、以下のように算出してもよい。] [0115] 重量%=(5C%)*(44%)/(91.25%)=トルエン2.41重量% 生成物の混合物(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレン)の場合、個々の生成物の収率の合計が、合計収率を与える。] [0116] 普通の当業者は、利用可能な商業的な技術で与えられる供給物流中の炭素量を決定することができるであろう。例えば、燃焼分析によって、炭素および水素の割合という観点から、供給組成物または炭化水素系材料供給物を決定することができる。燃焼分析において、供給物サンプルを秤量し、次いで、空気(例えば、過剰の空気)中で燃焼させ、二酸化炭素および水のような測定可能な燃焼生成物を得る。発生した二酸化炭素および水を、例えば、気体を補足し、秤量することによって、またはガスクロマトグラフィーによって測定してもよい。この例では、測定した二酸化炭素(CO2)のモル数は、供給物サンプル中の炭素(C)のモル数と等しいであろう。それに加えて、測定した水(H2O)のモル数は、供給物サンプル中の水素(H)のモル数の2分の1と等しいであろう。] [0117] 反応器を定常状態で操作する場合、反応器から出て行く質量は、反応器に供給される質量と等しい。しかし、いくつかの場合、定常状態が達成されなくてもよい。例えば、反応器内に物質(例えば、コークス)が蓄積してもよい。物質収支の計算を行うために、反応器に蓄積する物質の量を決定しなければならない。この決定は、例えば、操作前と後に反応器の内容物の重さを測ることによって達成されてもよい。] [0118] いくつかの代表的なバイオマスに由来する含酸素化合物の熱分解から得られる分布を図2Bに示す。興味深いことに、本発明の方法を用い、試験した供給原料は、芳香族生成物の分布がよく似ていた。芳香族化合物のモーターオクタン価(MON)は、111であると概算された(定量したすべての芳香族のオクタン価(RONおよびMON)および沸点の完全なリストについては、以下の実施例を参照)。このような芳香族生成物および他の芳香族生成物は、燃料として直接使用されるか、または高オクタン燃料添加物として使用されてもよく、または、異なる化合物を製造するために、さらに処理されてもよい。しかし、製造されるナフタレンは、低温での流動性が低く(すなわち、揮発性が低く)、現在の規制では、ガソリン中の濃度が25容量%までに制限されている。これらの問題点を軽減するために、ナフタレンおよび他の芳香族化合物を、二次プロセスで水素化してアルカンにし、燃料添加物としての用途を高めることができる。] 図2B [0119] 図3からわかるように、グルコースを熱分解した場合の生成物の収率は、加熱速度の関数であった。見かけ加熱速度1000℃秒−1で、芳香族化合物の収率が最大になり、コークスの収率が最小になった。加熱速度を3桁下げて1℃秒−1まで下げたら、芳香族化合物の収率は半分になり、コークスの収率は、35〜40%まで上昇した。したがって、大きな加熱速度を利用し、望ましくない熱分解反応およびコークスの生成を防いでもよいことが決定された。] 図3 [0120] 大きな加熱速度に加え、バイオマスを基準とした触媒の質量比を大きくすることは、芳香族化合物製造のために有利に作用することがある。図4A〜4Bは、グルコースを触媒熱分解した場合の、生成物の選択率を、グルコースを基準とした触媒の質量比の関数として示している。グルコースを基準とした触媒の質量比を小さくするにつれて、コークスの収率が大きくなり、芳香族化合物の収率が低下した。COおよびCO2の収率もまた、グルコースを基準とした触媒の質量比が小さくなるにつれて低下した。それに加えて、グルコースを基準とした触媒の質量比を19よりも小さくすると、熱的に安定な含酸素化合物が形成された。これらの含酸素化合物の収率は、グルコースを基準とした触媒の質量比が大きくなるにつれて低下した。形成された含酸素化合物としては、図4Bに示すように、フラン、2−メチルフラン、フルフラール、4−メチルフルフラール(4−methylfurfaral)、フラン−2−メタノール、ヒドロキシアセチルアルデヒドおよび酢酸が挙げられる。グルコースを基準とした触媒の質量比が大きい場合、主要な含酸素生成物は、ヒドロキシアセトアルデヒドおよび酢酸であった。しかし、グルコースを基準とした触媒の質量比が小さくなるにつれて、フランの選択率が増加した。これらの結果は、芳香族化合物に加え、触媒熱分解を、特殊化学品または燃料前駆体として使用可能な含酸素化合物を形成するように調整することも可能であることを示していた。] 図4B [0121] また、適した触媒の選択を利用し、芳香族化合物を選択的に製造することもできる。図5は、数種の異なる触媒によってグルコースを触媒熱分解して得られる炭素収率を比較している。HZSM−5は、試験したあらゆる触媒の中で芳香族化合物の収率が最も高かった。触媒を使用しないと、観察される主要生成物はコークスであった。生成物分布に影響を与えると考えられる2種類の触媒パラメーターは、孔の構造と、酸性部位の種類であった。酸性部位が触媒活性に与える役割を、代表的なZSM−5、シリカライト、アモルファスSiO2−A12O3触媒を用いて試験した。シリカライトおよびZSM−5は、両方とも同じ孔構造を有しているが、シリカライトは、Bronstead酸性部位を含有していない。シリカ−アルミナは、Bronstead酸性部位を含有しているが、秩序だった孔構造を有していない。シリカライトは、主にコークスを製造し、このことは、Bronstead酸性部位が、芳香族化合物を製造するのに有用であり得ることを示す。シリカアルミナも、主にコークスを製造し、このことは、ゼオライトの孔構造が、芳香族化合物を選択的に製造するために利用されている可能性を示す。また、図5で、β−ゼオライト触媒およびY−ゼオライト触媒は、両方とも大量のコークスを製造することも示されている。図5の結果は、本発明の方法が、触媒、活性部位の種類、孔の形状によってさまざまに変化し得ることを示している。] 図5 [0122] 2000型熱分解プローブ分析パイロライザ(CDS Analytical Inc.)を用い、実験を行った。プローブは、開放している石英管を保持している、コンピュータ制御された抵抗加熱式要素であった。粉末状サンプルをこの管に入れ、石英ウールでゆるく蓋をし、熱分解中に、ヘリウムキャリアガス流を用い、石英管の開放端から蒸気を大きな空洞(熱分解インターフェース)に流した。キャリアガス流は、Hewlett Packard model 5972A質量選択検出器とインターフェースでつながった5890型ガスクロマトグラフに向けられていた。熱分解インターフェースは、100℃に保持されており、使用したGCのインジェクター温度は275℃であった。ヘリウムは、熱分解用の不活性ガスとして用いられ、GCMSシステムのキャリアガスとしても用いられた。GCキャピラリーカラムに対し、0.5ml分−1の一定流量のプログラムを用いた。GCオーブンを以下の温度体系でプログラムした。50℃で1分間保持、200℃まで10℃分−1の傾斜で上昇、200℃で15分間保持。] [0123] (実施例2) 炭水化物供給物と触媒とを物理的に混合することによって、粉末状反応剤を調製した。供給物も、触媒も、混合前に140メッシュ未満の大きさになるように、ふるいで分けておいた。HZSM−5(Si/Al=30、WR Grace)を基準にして、D−グルコース(Fisher)の質量比が、19、9、4、2.3、1.5になるように、試験するグルコースを物理的に混合したものを調製した。また、キシリトール(Fisher)/ZSM−5、セロビオース(Acros)/ZSM−5、セルロース(Whatnam)/ZSM−5を、触媒:供給物の質量比19で調製した。反応の前に、HZSM−5を空気中、500℃で5時間焼成した。また、以下の触媒を用い、触媒:グルコース質量比が19のサンプルを調製した。シリカライト、O−ゼオライト、Y−ゼオライト、メソポーラスSiO2/A12O3(SiO2/A12O3=35)。すべての実施した熱分解について、反応条件、生成物の収率、生成物の選択率を表1にまとめている。すべての実施は、反応温度600℃で行った。収率は、生成物中の炭素のモル数を反応剤中の炭素のモル数で割ったものである炭素モル収率によって報告している。芳香族化合物の収率は、芳香族生成物中の炭素のモル数を供給物中の炭素のモル数で割ることによって算出した。] [0124] (実施例3) 上にまとめた結果によれば、キシリトールおよびキシロースは、顕著なコークスを生成することなく、触媒熱分解によって熱的に安定な化合物に変換することができる(表2を参照)。熱分解プロセスに触媒を加えると、コークスの形成量が顕著に減り、熱的に安定な生成物への変換率が高まる。キシリトールの触媒熱分解について、シリカアルミナ(SiO2−A12O3 Grace−Davison 3125)、タングステン酸ジルコニウム(WOx/ZrO2 MEIX201251)、硫酸ジルコニウム(SOx/ZrO2 MEI X20880)、Pt−シリカ−アルミナ(Huberらにしたがって調製したPt/SiO2−A12O3)およびZSM−5(シリカ対アルミナのモル比が35 WR Grace)を含む5種類の異なる触媒を試験した。触媒の構造は、生成物の選択率を大きく変え、ZSM−5触媒を用いた場合に、芳香族化合物(ガソリン燃料添加物として使用可能)を高収率(50%)で製造することができる。使用したシステムは、熱的に安定な化合物を、GC条件では分解してしまう熱的に不安定な化合物と対比して検出する。特に、キシロースが、キシリトールが供給物である場合よりも、フルフラールを高い選択率(55%)で製造する。] [0125] 表2は、熱分解プローブ−GCMSシステムにおいて、キシリトールを触媒熱分解した結果の概略を示す。これらの実験の反応条件は、以下のとおりであった。温度、600℃;段階的な加熱速度、1000℃/秒;反応時間、60秒、触媒を基準としたキシリトールの重量比、0.18;触媒に加えて物理的な混合物にし、メッシュの大きさが60〜120になるように粉砕したリグニン;不活性ガス、他に示されない限り、1atmのHe。] [0126] (実施例4) シリカ−アルミナに金属を加えると、COが増える方に選択率がシフトし、このことは、金属が、反応化学に影響を与えている可能性を示している。この結果は、異なる量の金属を触媒に加えることによって、水素を生成する反応および水素移動反応の速度が大きくなる可能性を示唆している。触媒水素化熱分解(Heではなく、水素を用いた触媒熱分解)によって、触媒上のコークス形成量が減り、このことは、さらに別の実施形態を示している。これらの予備的な良い結果から、触媒熱分解によって、ガソリンまたはジェット燃料ブレンドとして使用可能な芳香族化合物を含む多様な生成物を製造することができることが示される。この芳香族ブレンドを、ZSM−5触媒によって、種々の供給原料から同様の生成物選択率で製造することができる(例えば、図1A〜1Bを参照)。] [0127] (実施例5) リグニンおよびリグニンに由来する化合物も、本発明にしたがって、触媒熱分解によって芳香族流体化合物に変換することができる(表3および表4)。オルガノソルブリグニンの熱分解によって、主に、ベンジルフェニルエーテル(BPE)、エタノール、メタノール、CO、CO2が生成する。SiO2−A12O3およびZSM−5を用いた触媒熱分解によって、それぞれ、熱的に安定な生成物への変換率が3〜10倍に増加する(触媒を使用しない熱分解と比較して)。オルガノソルブリグニンは、オルガノソルブのパルプ化プロセスか得られるリグニン生成物であり、リグニンを含む他の固体化合物からも同様の結果が予想される。これらの実験から、熱分解プロセスにおいて、触媒が、リグニンに由来する供給物の生成物および反応性をいかに顕著に変化させるかを示している。オルガノソルブリグニンから生成した主生成物はBPEであり、表3は、BPE:ベンゼン、フェノール、トルエンおよび他の芳香族化合物を触媒熱分解した結果を示している。固体のリグニン流から直接、ベンゼン、フェノール、トルエン、他の芳香族化合物を製造するように、触媒熱分解プロセスを改変することができる。ベンゼンおよびトルエンは、ガソリンに直接加えることができ、一方、フェノールは、価値が高い汎用化学品である。] [0128] 表3は、熱分解プローブ−GCMSシステムにおける、オルガノソルブリグニン(Aldrich)の触媒熱分解の結果の概略を示す。反応条件は、以下のとおりであった。温度、600℃;段階的な加熱速度、1000℃/秒;反応時間、60秒;触媒を基準としたリグニンの重量比、0.18;触媒に加えて物理的な混合物にし、メッシュの大きさが60〜120になるように粉砕したリグニン;不活性ガス、1atmのHe。] [0129] 表4は、熱分解プローブ−GCMSシステムにおける、ベンジル−フェニルエーテル(BPE)の触媒熱分解の結果の概略を示す。反応条件は、以下のとおりであった。温度、600℃;段階的な加熱速度、1000℃/秒;反応時間、60秒;触媒を基準としたリグニンの重量比、0.18;触媒に加えて物理的な混合物にし、メッシュの大きさが60〜120になるように粉砕したリグニン;不活性ガス、1atmのHe。] [0130] (実施例6) 特定の実施形態にしたがって、従来技術と比較することによって、同じ反応チャンバで、同じ温度で、バイオマスを熱分解し、触媒(インサイチュ)で変換された凝縮性蒸気にした。第2段階は、米国特許第7,241,323号および第5,504,259号に記載されているように、このプロセスから除外した。一段階プロセスの利点は、流体生成物を凝縮し、その後に性能を高める場合、使用エネルギーが少なくてすむこと(すべての化学反応が同じ温度で起こる)、第2の性能を高める段階に移動する間に、凝縮性蒸気が重合したり、他の方法で分解したりする機会がないことの2つである。] [0131] (実施例7) 一般的に、従来技術の流体燃料生成物の組成物は、特定されてはいない。文献の報告では酸素含有量が下がっているが、特定の分子燃料成分は開示していない。本明細書に記載した種類の広範囲の実施形態を示すと、固定床反応器中のZSM−5触媒は、ほぼ完全に芳香族化合物で構成される流体を製造した。バイオマスから、水、CO、CO2の形態で酸素を除去した。特に、燃料中で定量した芳香族化合物は;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチル−ベンゼン、エチル−メチル−ベンゼン、トリメチル−ベンゼン、インダン、メチル−インダン、ナフタレン、メチル−ナフタレン、ジメチル−ナフタレンを含んでいた。このような芳香族化合物の混合物は、高オクタン燃料添加物として使用することができる。すべての芳香族化合物は、ナフタレン(90オクタン)を除き、100オクタンを超えている。以下の表5を参照のこと。] [0132] 上に示したように、短い滞留時間で、1個の触媒反応器中で触媒熱分解することによって、高品質の芳香族燃料/添加物を固体バイオマス原料から直接製造することができる。反応化学、触媒、装置/反応器の設計を理解すると、多様なリグノセルロース系バイオマス資源から流体バイオ燃料を効果的に生成するように、触媒熱分解を用いることができる。] [0133] (実施例8) また、触媒のシリカ対アルミナのモル比を変えた場合の影響について観察した。これらの実験条件は、以下のとおりであった。供給物を基準とした触媒の質量比、19;触媒、ZSM5;見かけ加熱速度、1000℃秒−1;反応温度、600℃;反応時間(供給物の滞留時間)、240秒。これらの実験で、グルコースを炭化水素供給物として使用した。図6A〜6Bは、グルコースを触媒熱分解した場合の、生成物の選択率をシリカ対アルミナのモル比の関数として示している。図6Aに示されるように、シリカ対アルミナのモル比が30の触媒を使用すると、シリカ対アルミナのモル比が23、55、または80の触媒を使用する場合と比較して、最大量の芳香族生成物が製造された。図6Bに示されるように、シリカ対アルミナのモル比が異なる触媒を使用すると、選択した化合物の収率をもっと高めることができる。例えば、ナフタレンの収率を高めるために、シリカ対アルミナのモル比が約30または50のものを使用することができる。] 図6A 図6B [0134] (実施例9) 本実施例は、触媒への金属含浸が生成物の収率に与える影響を示している。ZSM−5(シリカ対アルミナのモル比が30、Zeolyst)の孔に金属を含浸すると、生成物の選択率が、COおよびCO2が増える方向にシフトし、このことは、金属が、反応化学に影響を与える可能性を示している。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、金属は、脱カルボニル化および/または脱炭酸の反応速度を大きくする場合がある。以下の金属を試験した。Cu、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Pt。表6は、熱分解プローブ−GCMSシステムにおいて、金属が組み込まれたZSM−5によってグルコースを触媒熱分解して得られた結果をまとめている。ZSM−5に金属を付加させるのに、湿式含浸とイオン交換の2つの異なる方法を使用した。イオン交換法によって含浸した触媒は、湿式含浸法によって含浸した触媒と比較して、芳香族化合物を高い収率で製造し、コークスを低い収率で製造した。] [0135] 触媒の孔径も、芳香族化合物の収率に影響を与えた。表7は、数種の異なる骨格のゼオライトによってグルコースを触媒熱分解した場合の炭素収率のデータを含んでいる。いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、含酸素中間体分子(例えば、メチルフルフラール、動的直径5.9オングストロームを有する)をゼオライト骨格に拡散することが可能なほど十分に大きい孔径を有するゼオライト触媒を用いることが望ましい場合がある。また、芳香族化合物を選択的に製造するのに十分小さい孔径(6.3オングストローム未満)を有するゼオライト触媒を用いることが望ましい場合もある。表7は、ZK−5は芳香族化合物を製造せず、一方、Y−ゼオライトは主にコークスを製造したことを示している。ZSM−5に最も近い孔径(5.6Å)を有する触媒は、最大収率の芳香族化合物を製造した。] [0136] 触媒の酸性部分の密度および強度も、芳香族化合物の製造に影響を与えた。図11は、Si対Alモル比が異なる(Si/Al=46、60、110、160、Zeolyst)ZSM−5触媒を用い、グルコースを熱分解して得られる炭素収率をプロットしたものである。ZSM−5(Si/Al=60)は、段階的な加熱速度1000℃/秒、600℃で最大収率の芳香族化合物を製造した。] 図11 [0137] (実施例10) いくつかの実験で、天然に存在するバイオマスを供給原料として使用し、触媒熱分解によって流体芳香族化合物を製造した。表8は、熱分解プローブ−GCMSシステムにおいて、天然に存在するバイオマスを触媒熱分解した結果の概略を示す。ZSM−5(Si/Al=60 WR Grace)による木材、サトウキビ(ブラジルおよびハワイ)およびトウモロコシの茎葉の熱分解によって、芳香族化合物、COおよびCO2が製造された。これらの供給原料を用いて製造した芳香族化合物の収率は、グルコースおよびセルロースの場合の収率と匹敵するものであった。この結果から、天然に存在するバイオマス原料を用いた触媒熱分解を利用することが可能であることを示唆している。]
权利要求: 請求項1 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法であって、流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;該固体炭化水素系材料を、約0.01時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で、該流動床反応器に供給する工程と;該流動床反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;該1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、該1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む、方法。 請求項2 前記炭化水素系材料の質量正規化空間速度を、異なる炭化水素流体生成物を選択的に製造するように変える工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記炭化水素系材料の質量正規化空間速度が、約0.01時間−1〜約5時間−1である、請求項1に記載の方法。 請求項4 オレフィン化合物を選択的に製造するために、前記固体炭化水素系材料が、約0.1時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で前記流動床反応器に提供される、請求項1に記載の方法。 請求項5 前記芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換ベンゼン、インダン、およびナフタレンを含む、請求項4に記載の方法。 請求項6 前記芳香族化合物を選択的に製造するために、固体炭化水素系材料が、約0.01時間−1〜約0.1時間−1の質量正規化空間速度で流動床反応器に供給される、請求項1に記載の方法。 請求項7 前記オレフィン化合物が、エテン、プロペン、および/またはブテンを含む、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記1つ以上の炭化水素流体生成物を回収する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 請求項9 前記1つ以上の熱分解生成物が、揮発性有機化合物、気体および/またはコークスを含む、請求項1に記載の方法。 請求項10 前記1つ以上の炭化水素流体生成物が、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を含む、請求項1に記載の方法。 請求項11 前記1つ以上の炭化水素流体生成物が、前記熱分解生成物から、触媒による、脱水反応、脱カルボニル化反応、脱炭酸反応、異性化反応、オリゴマー化反応または脱水素化反応によって製造される、請求項1に記載の方法。 請求項12 前記炭化水素系材料が、固体バイオマス材料を含む、請求項1に記載の方法。 請求項13 前記炭化水素系材料が、プラスチック廃棄物、再生プラスチック、農業廃棄物および都市固形廃棄物、食品廃棄物、動物の排泄物、炭水化物、リグノセルロース系材料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。 請求項14 前記炭化水素系材料が、キシリトール、グルコース、セロビオース、ヘミセルロース、リグニン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。 請求項15 前記炭化水素系材料が、サトウキビバガス、グルコース、木材、トウモロコシの茎葉、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。 請求項16 前記炭化水素系材料の流動床反応器内での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項1に記載の方法。 請求項17 前記熱分解する工程と、前記触媒反応させる工程とが、1個の容器内で行われる、請求項1に記載の方法。 請求項18 前記触媒が、ゼオライト触媒、非ゼオライト触媒、金属触媒および/または金属酸化物触媒のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。 請求項19 前記触媒が、1つ以上のゼオライト触媒を含む、請求項1に記載の方法。 請求項20 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含む、請求項19に記載の方法。 請求項21 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、孔径が約5オングストローム〜約100オングストロームの孔を含む、請求項19に記載の方法。 請求項22 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、孔径が約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの孔を含む、請求項19に記載の方法。 請求項23 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、孔径が約7オングストローム〜約8オングストロームの孔を含む、請求項19に記載の方法。 請求項24 前記触媒が、孔径について二峰性の分布を有する1つ以上の触媒を含む、請求項1に記載の方法。 請求項25 前記1つ以上の触媒の孔の少なくとも約95%が、第1径分布内または第2径分布内にある最小断面直径を有し;該1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、該第1径分布内にある最小断面直径を有し;該1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、該第2径分布内にある最小断面直径を有する、請求項24に記載の方法。 請求項26 前記1つ以上の触媒の孔の少なくとも約95%が、第1分布内および第2分布内にある最小断面直径を有し、該第1分布が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームであり、該第2分布が、該第1分布とは異なっており、かつ該第1分布とは重複しておらず;該1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、該第1分布内にある最小断面直径を有し;該1つ以上の触媒の孔の少なくとも約5%が、該第2分布内にある最小断面直径を有する、請求項24に記載の方法。 請求項27 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が酸性部位を有する、請求項19に記載の方法。 請求項28 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、該触媒内に組み込まれた1つ以上の金属を有する、請求項19に記載の方法。 請求項29 前記触媒が、微小孔性の塩基性触媒を含む、請求項1に記載の方法。 請求項30 前記流動床反応器の内容物が、約50℃/秒よりも大きな加熱速度で加熱される、請求項1に記載の方法。 請求項31 前記流動床反応器の内容物が、該反応器内で約500℃〜約1000℃の温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。 請求項32 前記流動床反応器の容積が、少なくとも約1リットルである、請求項1に記載の方法。 請求項33 流動化流体を前記流動床反応器に導入する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 請求項34 前記流動化流体の前記流動床反応器内での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項1に記載の方法。 請求項35 前記触媒および前記1つ以上の炭化水素生成物を、約500℃を超える温度で、少なくとも約1秒間、分離器に通すことによって、該触媒から、前記1つ以上の炭化水素生成物を分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 請求項36 前記流動床反応器が、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項1に記載の方法。 請求項37 前記流動床反応器に対する供給物中、前記触媒と前記炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1である、請求項36に記載の方法。 請求項38 請求項8の方法によって製造される組成物。 請求項39 前記反応器に供給される前記固体炭化水素系材料の合計量の少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、該量は、前記組成物中に存在する芳香族化合物の重量を、該反応器に供給される該炭化水素系材料の合計重量で割って算出される、請求項38に記載の組成物。 請求項40 前記芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換ベンゼン、インダンおよび/またはナフタレンのうち1つ以上を含む、請求項39に記載の方法。 請求項41 前記反応器に供給される前記固体炭化水素系材料の合計量の少なくとも約7重量%の量のオレフィン化合物を含み、該量は、前記組成物中に存在するオレフィン化合物の重量を、該反応器に供給される該固体炭化水素系材料の合計重量で割って算出される、請求項38に記載の組成物。 請求項42 前記オレフィン化合物が、エテン、プロペン、および/またはブテンを含む、請求項41に記載の方法。 請求項43 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法であって、反応器内に固体触媒を用意する工程と;該反応器内に固体炭化水素系材料を用意する工程と;該反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、該固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程と;該触媒および該1つ以上の炭化水素生成物を、少なくとも約1秒間の分離器での滞留時間で、かつ約500℃を超える分離器温度で、分離器に通すことによって、該触媒から、該1つ以上の炭化水素生成物を分離する工程とを含む、方法。 請求項44 前記熱分解する工程と、前記触媒反応させる工程とが、1個の容器内で行われる、請求項43に記載の方法。 請求項45 前記反応器が、流動床反応器または循環式流動床反応器である、請求項43に記載の方法。 請求項46 前記炭化水素系材料の前記反応器中での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項43に記載の方法。 請求項47 前記反応器中の前記炭化水素系材料の質量正規化空間速度が、約0.01時間−1〜約10時間−1である、請求項43に記載の方法。 請求項48 前記炭化水素系材料および前記触媒が、前記反応器内で約50℃/秒よりも大きな加熱速度で加熱される、請求項43に記載の方法。 請求項49 前記炭化水素系材料および前記触媒が、前記反応器内で約500℃〜約1000℃の温度に加熱される、請求項43に記載の方法。 請求項50 前記反応器の容積が、少なくとも約1リットルである、請求項43に記載の方法。 請求項51 前記反応器が循環式流動床反応器であり、該流動床反応器に対する供給物中、前記触媒と前記炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1である、請求項45に記載の方法。 請求項52 前記触媒が、ゼオライト触媒を含む、請求項43に記載の方法。 請求項53 前記触媒が、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含む、請求項52に記載の方法。 請求項54 前記反応器が、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項43に記載の方法。 請求項55 炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法であって、循環式流動床反応器または乱流式流動床反応器を備える第1反応器内に炭化水素系材料を用意する工程と;該第1反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;該1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、第2反応器中で1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む、方法。 請求項56 触媒が、前記第1反応器内に用意され、該第1反応器中で、前記1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる、請求項55に記載の方法。 請求項57 前記第2反応器中で、前記1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を触媒反応させた後、該第2反応器内で、前記第1反応器からの1つ以上の炭化水素流体生成物の少なくとも一部分を反応させ、1つ以上の他の炭化水素生成物を製造する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。 請求項58 前記第2反応器が流動床反応器である、請求項55に記載の方法。 請求項59 前記流動床反応器が、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項58に記載の方法。 請求項60 前記第1反応器と、前記第2反応器とが、互いに流体連通するように連結される、請求項55に記載の方法。 請求項61 前記炭化水素系材料が、固体炭化水素系材料を含み、前記触媒が、固体触媒を含む、請求項55に記載の方法。 請求項62 前記炭化水素系材料が、約0.01時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で第1反応器に供給される、請求項55に記載の方法。 請求項63 前記炭化水素系材料の質量正規化空間速度を、異なる炭化水素流体生成物を選択的に製造するように変える工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。 請求項64 オレフィン化合物を選択的に製造するために、前記炭化水素系材料が、約0.1時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で前記第1反応器に供給される、請求項55に記載の方法。 請求項65 前記芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換ベンゼン、インダンおよび/またはナフタレンのうち1つ以上を含む、請求項64に記載の方法。 請求項66 芳香族化合物を選択的に製造するために、前記炭化水素系材料が、約0.01時間−1〜約0.1時間−1の質量正規化空間速度で前記第1反応器に供給される、請求項55に記載の方法。 請求項67 前記オレフィン化合物が、エテン、プロペン、および/またはブテンのうち1つ以上を含む、請求項66に記載の方法。 請求項68 前記1つ以上の炭化水素流体生成物を回収する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。 請求項69 前記1つ以上の熱分解生成物が、揮発性有機化合物、気体および/またはコークスを含む、請求項55に記載の方法。 請求項70 前記1つ以上の炭化水素流体生成物が、芳香族化合物および/またはオレフィン化合物を含む、請求項55に記載の方法。 請求項71 前記1つ以上の炭化水素流体生成物が、熱分解生成物から、触媒による、脱水反応、脱カルボニル化反応、脱炭酸反応、異性化反応、オリゴマー化反応および/または脱水素化反応によって製造される、請求項55に記載の方法。 請求項72 前記炭化水素系材料が、固体バイオマス材料を含む、請求項55に記載の方法。 請求項73 前記炭化水素系材料が、プラスチック廃棄物、再生プラスチック、農業廃棄物および都市固形廃棄物、食品廃棄物、動物の排泄物、炭水化物、リグノセルロース系材料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項55に記載の方法。 請求項74 前記炭化水素系材料が、キシリトール、グルコース、セロビオース、ヘミセルロース、リグニン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項55に記載の方法。 請求項75 前記炭化水素系材料が、サトウキビバガス、グルコース、木材、トウモロコシの茎葉、またはこれらの組み合わせを含む、請求項55に記載の方法。 請求項76 前記炭化水素系材料の前記第1反応器内での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項55に記載の方法。 請求項77 前記触媒が、ゼオライト触媒、非ゼオライト触媒、金属触媒および/または金属酸化物触媒のうち1つ以上を含む、請求項55に記載の方法。 請求項78 前記触媒が、1つ以上のゼオライト触媒を含む、請求項55に記載の方法。 請求項79 前記ゼオライト触媒が、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含む、請求項78に記載の方法。 請求項80 前記ゼオライト触媒が、孔径が約5オングストローム〜約100オングストロームの孔を含む、請求項78に記載の方法。 請求項81 前記ゼオライト触媒が、孔径が約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームの孔を含む、請求項78に記載の方法。 請求項82 前記ゼオライト触媒が、孔径が約7オングストローム〜約8オングストロームの孔を含む、請求項78に記載の方法。 請求項83 前記ゼオライト触媒が、孔径について二峰性の分布を有する、請求項78に記載の方法。 請求項84 前記触媒の孔の少なくとも約95%が、第1径分布内または第2径分布内にある最小断面直径を有し;該触媒の孔の少なくとも約5%が、該第1径分布内にある最小断面直径を有し;該触媒の孔の少なくとも約5%が、該第2径分布内にある最小断面直径を有する、請求項83に記載の方法。 請求項85 前記触媒の孔の少なくとも約95%が、第1分布内および第2分布内にあり、該第1分布が、約5.9オングストローム〜約6.3オングストロームであり、該第2分布が、該第1分布とは異なっており、かつ該第1分布とは重複しておらず;該触媒の孔の少なくとも約5%が、該第1分布内にある最小断面直径を有し;該触媒の孔の少なくとも約5%が、該第2分布内にある最小断面直径を有する、請求項83に記載の方法。 請求項86 前記1つ以上のゼオライト触媒の少なくとも1つが酸性部位を有する、請求項78に記載の方法。 請求項87 前記1つ以上のゼオライト触媒の少なくとも1つが、該触媒内に組み込まれた1つ以上の金属を有する、請求項78に記載の方法。 請求項88 前記触媒が、微小孔性の塩基性触媒を含む、請求項55に記載の方法。 請求項89 前記第1反応器および前記第2反応器の内容物が、少なくとも約50℃/秒の加熱速度で加熱される、請求項55に記載の方法。 請求項90 前記第1反応器および前記第2反応器の内容物が、前記反応器内で約500℃〜約1000℃の温度に加熱される、請求項55に記載の方法。 請求項91 前記第1反応器の容積が、少なくとも約1リットルであり、前記第2反応器の容積が、少なくとも約1リットルである、請求項55に記載の方法。 請求項92 前記第1反応器に対する供給物中、前記触媒と前記炭化水素系材料との質量比が、約0.5:1〜約20:1である、請求項56に記載の方法。 請求項93 流動化流体を前記第1反応器および前記第2反応器に導入する工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。 請求項94 前記流動化流体の前記第1反応器および前記第2反応器内での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項93に記載の方法。 請求項95 前記触媒および前記1つ以上の炭化水素生成物を、約500℃を超える温度で、少なくとも約1秒間、分離器に通すことによって、該触媒から、該1つ以上の炭化水素生成物を分離する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。 請求項96 前記1つ以上の炭化水素流体生成物を回収する工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。 請求項97 請求項96の方法によって製造される組成物。 請求項98 前記第1反応器に用意される、使用する固体炭化水素系材料の合計量の少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、該量が、前記組成物中に存在する芳香族化合物の重量を、該第1反応器に用意される該炭化水素系材料の重量で割って算出される、請求項97に記載の組成物。 請求項99 前記芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換ベンゼン、インダンおよび/またはナフタレンのうち1つ以上を含む、請求項98に記載の方法。 請求項100 前記第1反応器に用意される固体炭化水素系材料の合計量の少なくとも約7重量%の量のオレフィン化合物を含み、該量が、前記組成物中に存在するオレフィン化合物の重量を、該第1反応器に用意される該炭化水素系材料の重量で割って算出される、請求項97に記載の組成物。 請求項101 前記オレフィン化合物が、エテン、プロペン、および/またはブテンのうち1つ以上を含む、請求項100に記載の組成物。 請求項102 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法であって、流動床反応器を備える第1反応器内に固体炭化水素系材料を用意する工程と;該第1反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;該1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、第2反応器中で該1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む、方法。 請求項103 触媒が、前記第1反応器に用意され、該第1反応器中で、前記1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる、請求項102に記載の方法。 請求項104 前記第2反応器中で、前記1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を触媒反応させた後、該第2反応器内で、第1反応器からの1つ以上の炭化水素流体生成物の少なくとも一部分を反応させ、1つ以上の他の炭化水素生成物を製造する工程をさらに含む、請求項102に記載の方法。 請求項105 前記第1反応器および/または前記第2反応器が、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項102に記載の方法。 請求項106 前記第2反応器が、前記第1反応器と、流体連通するように連結される、請求項102に記載の方法。 請求項107 固体炭化水素系材料から、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造する方法であって、流動化流体を流動床反応器に導入し、該流動化液体は、該反応器内で、流動化液体の平均滞留時間が少なくとも約1秒である工程と;該流動床反応器内に固体触媒を用意する工程と;該流動床反応器に固体炭化水素系材料を供給する工程と;該流動床反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程であって、該流動床反応器が、約500℃〜約1000℃の温度を有する工程と;該1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、固体触媒を用い、1つ以上の炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程とを含む、方法。 請求項108 前記熱分解する工程と、前記触媒反応させる工程とが、1個の容器内で行われる、請求項107に記載の方法。 請求項109 前記炭化水素系材料の前記反応器中での滞留時間が、約2秒〜約480秒である、請求項107に記載の方法。 請求項110 前記反応器中での前記炭化水素系材料の質量正規化空間速度が、約10時間−1未満である、請求項107に記載の方法。 請求項111 前記触媒が、1つ以上のゼオライト触媒を含む、請求項107に記載の方法。 請求項112 前記少なくとも1つのゼオライト触媒が、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含む、請求項111に記載の方法。 請求項113 前記反応器が、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項107に記載の方法。 請求項114 固体炭化水素系材料の反応生成物の流体部分を含む炭化水素流体生成物であって、該炭化水素流体生成物は、該反応生成物を形成するのに使用される固体炭化水素系反応剤物質の合計量の少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、該量は、該炭化水素流体生成物中に存在する該芳香族化合物の重量を、該反応生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される、炭化水素流体生成物。 請求項115 前記流体生成物が、前記固体炭化水素系材料が固体触媒と接触する反応器中で少なくとも部分的に形成される、請求項114に記載の炭化水素流体生成物。 請求項116 前記触媒が、1つ以上のゼオライト触媒を含む、請求項115に記載の炭化水素流体生成物。 請求項117 前記触媒が、約30:1〜約150:1のシリカ対アルミナのモル比を含む、請求項116に記載の炭化水素流体生成物。 請求項118 前記炭化水素流体生成物が、標準的な周囲温度および周囲圧力で液体である、請求項114に記載の炭化水素流体生成物。 請求項119 固体炭化水素系材料から、炭化水素流体生成物を製造する方法であって、反応器内に固体炭化水素系材料および触媒を用意する工程と;該反応器内で、該炭化水素系材料の少なくとも一部分を、1つ以上の熱分解生成物を製造するのに十分な反応条件下で熱分解する工程と;該1つ以上の熱分解生成物の少なくとも一部分を、該触媒を用い、該炭化水素流体生成物を製造するのに十分な反応条件下で触媒反応させる工程であって、該炭化水素流体生成物が、該熱分解生成物を形成するのに使用される固体炭化水素系材料の合計量の少なくとも約15重量%の量の芳香族化合物を含み、該量が、該炭化水素流体生成物中に存在する芳香族化合物の重量を、該熱分解生成物を形成するのに使用される炭化水素系材料の重量で割って算出される工程とを含む、方法。 請求項120 前記反応器が流動床反応器である、請求項119に記載の方法。 請求項121 前記流動床反応器が、循環式流動床反応器、乱流式流動床反応器またはバブリング式流動床反応器である、請求項120に記載の方法。 請求項122 前記触媒が固体触媒を含む、請求項119に記載の方法。 請求項123 前記炭化水素系材料が、約0.01時間−1〜約10時間−1の質量正規化空間速度で反応器に供給される、請求項119に記載の方法。 請求項124 |